悪い娘の悪戯

  • 作品社 (2011年12月23日発売)
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感想 : 34

女は金と権力のある男が好きで男に愛情など求ず、法も倫理も無視してより良い男に乗り換えて行く。男はパリで一生暮らすことだけが人生の目標の男。
男が惚れていることをいいことに、女は男の金やコネを利用して、散々弄んで別の男とあっさり消えてしまう。でも、次に再開した時には、前にあったすったもんだは何もなかったかのように、アッケラカンとして、また思わせぶり態度で誘惑する。男は性懲りも無く、今度こそ愛情を得られるかもと愛情を注ぐがまた捨てられる、のループ。
話が進むに連れ、年を取るにつれ、お転婆な娘だな→なんたるビッチ→メンヘル入ってるなぁと、男と一緒に読者は呆れるわけですが、話の中頃から女の隠された過去が明かされるにつれ、女の行動を「悪い娘の悪戯」ですましてきた男の了見の狭さに気づかされる。男も傷ついたかもしれないけど、おんなじ位女に残酷なことしてるよね、と。で、読者は段々女に同情を覚えてくる訳ですが女は最後までビッチなままでやっぱしただの悪い娘かなぁとも思わせて、終わる。

読みはじめは、男の独白スタイルもあいまって、ティファニーで朝食をとかアニーホール、100日間のサマー的な、自由奔放な女と女に翻弄される一途な男を描いた洒脱な小説かな~と思っていたのですが、物語が進んでいくにしたがって、ちょw聞いてないんだけどw的な抜き差しならない修羅場になっていくのが面白かったですね。技巧をこらした重厚な小説を書く人とばかり思っていたのですが、とても読みやすくて笑えて悲しい小品でした。もしかしたら、ペルーの苦い歴史が悪い娘に重ねあわされているのかもわかりませんが、そこまで深読みする知識はなく。。。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説・文学
感想投稿日 : 2012年11月20日
読了日 : 2012年11月19日
本棚登録日 : 2012年10月7日

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