月夜のみみずく

  • 偕成社 (1989年3月1日発売)
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感想 : 72
5

寒い冬の夜おそくに父親に連れられ
野生のみみずくを探しに森へ行く少女を、
美しい詩と共に描いた絵本です。


自分自身、ボクシングの試合前は、
京都の鞍馬山の山奥に山籠りしに行きます。

森の中にいると、生命の息吹や自然界のパワーを直に感じれるし貰えるから、

決して大袈裟ではなく
細胞の一つ一つが浄化していくような不思議な感覚を得られます。

だけど夜は、静まりかえった森の中に獣の気配や鳴き声がして、
怖くて寝れなくなるほど、自然の脅威を感じたりして(汗)(≧∇≦)

やっぱ都会の喧騒の中にずっといると、 人間澱んでくるのかなぁ〜って、
自然の中で暮らしてみて初めて分かりました。


この絵本のお父さんと娘も
生きるということを肌で感じるために、

自然の脅威をまだ幼い娘に教えるために、
夜の森へと出かけていきます。


みみずくの鳴き声を真似て
本物のみみずくを誘うお父さん。

夜の雪の中を歩く怖さや不安、
少女が感じる
ようやく兄に次いで森に連れて行ってもらえる年齢になったことへの喜び、

何かを得るためには
寒さの中勇気を持って進み、
じっと我慢しなくちゃいけないこと、

求めていたものに会えなくとも
がっかりしないこと、

そしてこれから出会うだろう
未知のものへのときめきなど、

そのまま長い人生にも当てはまる教訓と
幼い少女の鼓動が直に伝わってくるような詩情あふれる文章が本当に秀逸で、

読む人それぞれが
期待に胸膨らませる少女の気持ちを
追体験していきます。


シンプルな構成の絵本だけど
この一冊の中に自然の怖さや掟、
生きる喜びがすべて詰まっている。

子供の頃にこういう貴重な
『生の体験』ができた少女がうらやましいな(^_^)


自分の足を使って
見て触って肌で感じた『生の体験』は、 どんなに年月が経とうとも
記憶の核となって、
自らを支えてくれるハズです。


少女の語り口調を忠実に再現したであろう、
詩人の工藤直子さんの訳にも拍手!


なお今作は、絵の表現力が問われる世界三大絵本賞のひとつである
コルデコット賞を1988年に受賞していることを追記しておきます。


これからの寒い冬の夜にピッタリな絵本ですよ(^^)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2014年1月12日
読了日 : 2014年1月12日
本棚登録日 : 2014年1月12日

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