凍りのくじら (講談社文庫)

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本棚登録 : 12976
レビュー : 1581
著者 :
円軌道の外さん 小説   読み終わった 

自分自身、漫画の「ドラえもん」を読んで育った世代だし
そこに流れる哲学や
優しい世界観が好きなので、
かなりハマりました(^_^)


人を見下しているような理帆子の性格には
最初好感が持てなかったけど、
読み進めるうちに
殻に閉じ籠っていた
10代の頃の自分を見ているようで(汗)
自然と物語に引き込まれていきました。

ミステリーとしての要素を上手く盛り込みながら、
母から父や娘に贈った
最後のラブレターや、
ラスト近くに明かされる衝撃的な展開には
かなり込み上げるものが…(ToT)?


物語は新進気鋭のカメラマンである
25歳の主人公・理帆子の回想から始まり、
高校2年生だった頃の
彼女の日常が描かれていきます。


父は失踪し
理帆子は病気の母と二人暮らし。


父が大好きだった
「ドラえもん」を愛し、
漫画や小説を読むことにしか
夢中になれない。


誰といても
そこを自分の居場所だと思えない、
どこにいても
どこか不在な女の子。

きちんとその場に存在して、
そこで生きてる人たちが
羨ましくて怖くて
いつも気後れしている。

そんな彼女が
写真を趣味とする不思議な青年や、
言葉を話せない少年と出会い、
今までの対人関係や
家族との関係を見つめ直し、
少しずつ癒されていきます。


しかしその影で同時進行する
ストーカー的な元カレの存在が
本当に怖くて痛くて、
やがて理帆子は
どうしようもない事態に追い詰められていきます。


しかしこの作者は
心理描写が抜群で
人間を描くのが本当に上手いですね。


本当は一人が怖くて
誰かと生きていきたい。
必要とされたいし、必要としたいと願う
理帆子の叫びが
丁寧に描かれた行間から聞こえてきそう。



本当に大事なものを失くして
どうしようもなくなって初めて
人は後悔する。


大切なものをなくした時
人はどう乗り越えて行けばいいのか、

自分を好きになれない全ての人に
読んで欲しい小説です。



『誰かと繋がりたいときは、すがりついたっていいんだよ。相手の事情なんか無視して、
一緒にいたいって、それを口にしても…

痛かったら泣いて、
苦しかったら、助けてって言っちゃえばいい。
きっと誰かが力を貸してくれる。

もう嫌だって、逃げちゃえばいいんだよ。
そうすることだって、できるんだよ』

レビュー投稿日
2011年5月9日
読了日
2011年月
本棚登録日
2011年5月9日
4
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