ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

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本棚登録 : 10103
レビュー : 1287
著者 :
円軌道の外さん 小説   読み終わった 

かなり前に読んだ本で、
自分が初めて
辻村さんの小説に触れた一冊。

頭の中では
読んでる間中ずっと
the pillowsの
「My girl」が流れてました。


どんな言葉より
どんな光より
僕を救ってくれた女の子
キミに会いたいな
キミに触れたいな
だけどたぶんもう
別人みたいさ

my girl
come back to me…




っていうやつ。



若い作家だとは聞いてたけど
丁寧に丁寧に心理描写を重ねた
エモーショナルに胸を打つ構成に、
駅のベンチであるにも関わらず
込み上げてくるものを抑えられなかった。

それくらい衝撃を受けた作品です。



相手を縛る不思議な力を持った
小学4年生の「ぼく」。

「ぼく」の同級生で、
分厚い眼鏡をかけ
頭脳明晰でうさぎ好き、
みんなから慕われるも
凛とした一匹狼の
ふみちゃん。


ある日、
学校のうさぎを
バラバラにするという
猟奇的事件が発生。
誰よりもうさぎが好きで世話をしていた
第一発見者のふみちゃんは、
犯人の圧倒的な悪意に
心を壊してしまう…。


人は大事なものを
失くしたり
傷付けられた時、
どう乗り越えていけばいいんだろう。

既存のモラルなど通用しない
圧倒的な悪の存在にどう立ち向かえばいいのか。


たった一人の理解者である
ふみちゃんを暗闇から救い出すために、
ふみちゃんの宝物であるメジャースプーンを手に
「ぼく」は犯人と
戦うことを誓います。


「ぼく」と同じ力を持つ秋先生とのやりとりや
ぼくの葛藤が綴られた中盤は
少しクドく感じられるけど、

復讐というものの重さと
それによって負うことになる責任を
読む者に提示するためには、
この長さは絶対に必要だったんだろうな。


失ったものは取り戻せないけれど、
やり直すことは出来る。

誰かのために頑張ることは
決して偽善なんかじゃなく、
「好き」から始まる
行動力だけが
変わらない何かを
変える
唯一の力になるんだと自分は思います。


果たして
不思議な力を使う「ぼく」は
圧倒的な「悪の王様」に
罰を与えることができるのか。

そして心が壊れてしまったふみちゃんに
いつか光が射す日は来るのか。


あまりに老成した
「ぼく」のキャラ設定に若干の違和感は残るけど、

間違いなく心に響いて、
読む者の記憶に
残り続けるであろう小説です。

レビュー投稿日
2012年6月7日
読了日
2012年6月7日
本棚登録日
2012年6月7日
13
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『ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)』のレビューへのコメント

まろんさん (2012年6月8日)

『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

読み始めると、かなり入り込んで、
他のことが手につかなくなる印象の作家さんなので
上下巻の上だけ買ってあるものとか、何冊かストックしてあるのだけれど
次に何を読もうか、かなり迷ってました。

円軌道の外さんが、これだけ衝撃を受けた作品なら
次はこれにしてみようかな(*^_^*)

円軌道の外さん (2012年6月13日)


まろんさん、
まったくその通りで
自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
辻村さんの作品は
しんどいんスよね〜(笑)(^_^;)


ただホンマに
辻村さんの小説は
心理描写を描くのが上手くて、
一気読みしちゃう中毒性がありますよね。

自分も「凍りのくじら」から入って
この作品読んだんやけど、

辻村さんの小説はどれも
結構昔の作品ともリンクしていて
登場人物も
過去の作品の人たちがチラチラ出てくるみたいなんで、

できれば伊坂さんの作品のように
デビュー作から順番に読むのが
一番楽しめる読み方なんかもなぁ〜って
最近は感じてます(笑)

まろんさん (2012年6月13日)

おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
(↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

デビュー作から順番にって、確かにそれが一番いいかも。。。
図書館だと作品全部そろってないみたいだったので
いったんネットでデビューからの流れを追ってみます!
アドバイスありがとうございます(*^_^*)

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