2012年発表。
ネットからの口コミで話題となり、
発売後3日で増刷、
3ヶ月で初版部数の20倍を突破、
「このマンガがすごい!2013オンナ編」にて第2位に選ばれた、
新人作家による
泣ける読み切り短編漫画。
友達からの薦めで読んでみたけど
噂に違わぬ面白さ。
絶妙な間を効果的に使った
映画的なカット割りと、
すべての作品に
ちょっとしたドンデン返しが用意されてるのが上手いですよね。
また一話の後日談を
さり気にラストに持ってくる構成も心憎い。
感慨に耽る女と
クールを装う男。
結婚式の前日を共に過ごす
二人の絆を描いた表題作
「式の前日」
7歳の少女と家を去った父親の
一年に一度の
秘密の触れ合いを描いた
「あずさ2号で再会」
学生時代お互いに同じ人を好きになった双子の兄弟が
10年ぶりに再会し、
当時の彼女への想いをさぐり合うが…
「モノクロ兄弟」
母親に捨てられ
励まし合い生きてきた
ジャック&ベティ兄妹に
農場のかかしが起こした奇跡とは…
「夢見るかかし」
親戚の女子中学生を預かることになった孤独な小説家は、
その頃から
死んだカラスの夢にうなされるようになる…
「10月の箱庭」
姉が病院に運ばれたことをなんとか伝えようと試みる
拾われ猫だったが、
弟は相変わらずなマイペースで…
「それから」
などほとんどの作品が死者や家族や身近なものとの
目には見えない絆を描いていて
じんわり沁み入ります。
中でもお気に入りは
ベテラン小説家のショートショートの如き切れ味の
ドンデン返しにやられた
「式の前日」と
切ない真実が
いつまでも余韻を残す
「あずさ2号で再会」
そして猫の視点が妙にツボだった
ラストの
「それから」かな。
例えこの世で生を全うしても
誰の魂も、どんな想いも
消えてなくなるわけじゃない。
中でも唯一家族だけは
儚さのない繋がりで、
いい意味でも
悪い意味でも
決して断ち切ることのできない鎖のようなものなのかな。
老若男女問わず受け入れられるであろう
懐の深い作品です。
(思わず手にとってしまう表紙や裏表紙のカバーデザインも秀逸)
- 感想投稿日 : 2013年4月8日
- 読了日 : 2013年4月8日
- 本棚登録日 : 2013年4月8日
みんなの感想をみる