新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)

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本棚登録 : 9233
レビュー : 889
著者 :
円軌道の外さん 小説   読み終わった 

夏の間に
どうしても読んでおきたかった一冊。


ひなげしを食べようと
あの手この手を使って騙そうとする悪魔と
本当の美しさを
ひなげしに説くひのきのやりとりが面白い
「ひのきとひなげし」、

花巻駅を舞台とした
なんともロマンチックな恋物語
「シグナルとシグナレス」、

歌うように軽快な文章で語られる
可哀想な象の話
「オツベルと象」、

人間社会を鋭く風刺した
「猫の事務所」、

楽団の中で一番下手だったセロ弾きの青年が
子猫やカッコウや子狸や野ねずみ親子の力で
仲間たちの信頼を得ていく
「セロ弾きのゴーシュ」、

そして孤独な少年が
死者たちと巡る銀河への旅を通して
生きる意味に気付いていく不朽の名作
「銀河鉄道の夜」などを収めた
珠玉の童話集です。


特に「銀河鉄道の夜」を再読して、
これほど痛切で
美しい物語だったのかと
この歳になって改めて感動しました。



賢治が持つ宗教観の色濃い
儚く深遠なストーリーと、

水素よりも透明な銀河の水、
サファイアやトパーズの河原、
りんごと薔薇の匂いがする風など
ロマンチックこの上ない比喩と
ファンタジックな世界観。


誰かのために命を賭けて死することが
人間にとって本当の幸いだという
賢治のメッセージ。


賢治の伝えたかった思いを理解した上で
あえて言葉を変えるなら、
自分は誰かのために
生きていきたい。

自分を救ってくれた愛する人のために、
自分を必要とする
誰かの声に応えるために
今を生きていたい。


夢から覚め
現実を生きていく決意をした
ジョバンニのように。

被災地の夜に読んだ
賢治の「雨ニモマケズ」のように。


悲しみを糧にして
強く気高く。

レビュー投稿日
2013年8月18日
読了日
2013年8月18日
本棚登録日
2013年8月18日
26
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『新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)』のレビューをもっとみる

『新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

ゆりさん (2013年8月22日)

宮沢賢治はポツポツと読んではいるものの、実はそんなに読んでないのかも・・・。
でも、有名なセロ弾きのゴーシュや、オツベルと象、銀河鉄道の夜は読んでます。

こうやって読むと実は結構大人向けの話なんじゃない??って思いませんか?

銀河鉄道の夜の舞台をやりたいなぁ・・・・。

九月猫さん (2013年8月24日)

円軌道の外さん、こんばんは♪

いつもたくさんの花丸をありがとうございます!
ワタシの本棚の「世界地図の下書き」にコメントもありがとうございます。
そちらにもお返事させていただきました。

宮沢賢治、大好きです。
詩も物語も、自然の中や身の回りのものを「在る」ままに
見つめている感じがとても好きです。
賢治の眼差しは、どこにも満遍なく注がれている陽のように、
過不足なくあたたかく包み込んでくれる気がします。
いつ読んでも、何度読んでも、大好きです。
円軌道の外さんのレビューを読んで、また読みたくなってきて、
「銀河鉄道の夜」だけぱらりと読みました。
素敵なレビューをありがとうございます(*´∇`*)

円軌道の外さん (2013年12月1日)


ゆりさん、沢山のコメント
ホンマありがとーっ(泣)(≧∇≦)


宮沢賢治は
自分も大人になってから
読んだのは
この一冊だけです(笑)

昔の作家が書いた童話が
今の大人にも通用する理由は、

今のように娯楽がない分、
昔の本を読む人たちは(子供たちは)
今の大人と比べて
ずっと成熟していたんやと思うんですよね。

考え方も
生き方も。


だから普通に
哲学的な話を
昔の子供たちは読んでたし、
受け入れられてたんやと思うんです。


今は本を作るにも
規制が厳しいし、
童話でさえ
作者は自由に描けないから、

どうしても子供に(もしくは親に)媚びた内容で
分かりやすさに終始してまうんじゃないかな。


てか、この作品の舞台やるなら
俺も観てみたいなぁ~(≧∇≦)



円軌道の外さん (2013年12月1日)


九月猫さん、お久しぶりです!

素敵なコメント頂いていたのに
返事が遅くなって
ホンマすいません(汗)(≧∇≦)


そうなんですよね。
宮沢賢治の眼差しは
どんな生き物も区別することなく、
暖かく注がれてるのを
読むたびにスゴく感じるし、
(宇宙的とも言えるし神の視点とも言えますよね)

どの話も
どこか詩的で
ロマンチックですよね。


特に「銀河鉄道の夜」は
悲しさの中に
一筋の希望が込められていて
何度となく読みたくなるし、
読む度に新たな発見がある
永遠に語り継がれるべき名作だと思います(^_^)v


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