儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

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本棚登録 : 6514
レビュー : 860
著者 :
円軌道の外さん 小説   読み終わった 

いやぁ~、何ちゅうほろ苦い読後感!
目を背けたいのに否応なしに惹きつけられる甘やかで背徳な毒の味。
ミステリーというか、
ホラーテイストのダークな短篇集です。

時代も場所も主人公もそれぞれ違う短編すべてに共通するのは、
物語の登場人物たちが謎の読書サークル『バベルの会』に所属していて、
旧家や上流階級の少女たちであること。

収録されているのは、
屋敷で起こる連続殺人の顛末を
二人の少女の手記の形で描いた
『身内に不幸がありまして』、

妾の子である少女が使用人として働く屋敷で
別館に幽閉された長男から頼まれる奇妙な買い物依頼の謎。
そして最後の一言にゾーッとした(滝汗)
『北の館の罪人』、 

職務を全うするためなら手段を選ばぬ雪に閉ざされた山荘の使用人の狂気に、映画「ミザリー」を思い出し背筋が震えた
『山荘秘聞』、

財閥の娘と使用人の少女との深い絆を描き、伏線回収の妙とラスト一行に戦慄すること必至の傑作
『玉野五十鈴の誉れ』、

バベルの会に相応しい人間であることを証明するために
恐ろしい計画を実行に移す少女を
日記形式で描いた
『儚い羊たちの晩餐』
の計五編の短編です。

幻想的な筆致と唖然とするような幕切れ。
見えていたものが見えなくなり、
見えなかったものがラストにおいて浮かび上がるその鮮やかさ。
(その反転の見事さこそがミステリーの醍醐味と言えるんだろう)

文体は古風な言い回しで丁寧だし、綺麗な言葉使いで書かれているのに
得体の知れない恐怖が読む者を魅了し縛り付ける。

幻想と現実とを混乱してしまう儚い者たちの狂気が
どこか滑稽でいて哀しいのは何故だろう。

米澤さんをちゃんと読んだのはひさびさだけど、
しかしこの人は意欲的というか、
ひとところに止まらず、どんどん新たな地平を歩んでいってるし、
こういうモノも書けるのかと個人的には心地よい驚きでした。
(本当に読ませるし面白い作品だけど、謎解きに重視を置いたミステリーではないのは先に断っておきます笑)

関係ないけどもし映画化するなら、
大森靖子の名曲「呪いは水色」を主題歌に推したいなぁ~!(笑)

レビュー投稿日
2015年4月5日
読了日
2015年4月5日
本棚登録日
2015年4月5日
13
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