猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)

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本棚登録 : 4161
レビュー : 531
著者 :
円軌道の外さん 小説   読み終わった 

いやぁ〜面白い!

お正月の「福袋」を開けるみたいに
ドキドキワクワクしながら
最後までページをめくることのできる
この幸せよ(^O^)

読み終わってしまうのが惜しくて
いつまでもこの物語に
浸っていたいと思った。

それは本が好きで
心から良かったと思える瞬間です。



唇の奇形も手伝って
幼い頃から寡黙だった少年。

けれど彼は
驚異的な知力と
並外れた集中力を持っていた。

空想することが生き甲斐だった
ひとりぼっちの少年が
やがてチェスと出会い、

心の友である
象のインディラと
壁に挟まれて死んだ
少女ミイラ、

そして白黒模様の
猫のポーンと共に
チェスの海を
自由奔放に泳いでいく。



美しく控えめで
映像喚起力の高い
小川さんの文章が、

現実離れしたストーリーに
意外なリアリティーを与え、
あり得ざる物語に
説得力を生み出してくれる。



愛する人を失った少年は
やがて盤下の詩人、
リトル・アリョーヒンと呼ばれ、

からくり人形の中に入って、
チェスを指すという
奇想天外な物語が展開していく。


世界の片隅に取り残され、
忘れ去られたものに心惹かれる性質の
少年のキャラクター造形が素晴らしいですね。


ボックス・ベッドの天井に祖父が描いてくれた
暗闇に浮かぶチェス盤。

初めて自分だけのチェス盤を手にしたシーンの
心躍ること。


少年が見た
目に見えない駒が
自由自在に旅する様が
自分にも
はっきりと目に見ることができたし、

一手一手が結ぶ
心地いいメロディーが
確かに聞こえてきました。


『偶然が勝たせてくれるんじゃない、
与えられた力をありのままに発揮した時に、勝てるんだ』

という言葉は
そのまま人生にも言い当てることができるし、

人生もまた同じく
端っこの見えない
巨大なチェス盤なんだろう。


まだひっくり返せるし
ゲームは終わらない。

明日は何かが変わるかもしれない。


だから諦めるなんて
勿体無いんです。


チェスのことは何も分からない自分だけれど、
分からないからこそ
心を打たれるんだろうし、

知らない扉を開けて
新しい世界を知る喜びこそが
世界の偉大さを教えてくれる。


甘い夢を見たかのような感覚と
まるで一枚の絵を見て、
一編の詩を読んだような感慨が残る、
人の心に永遠に残るであろう力を持った小説です♪

レビュー投稿日
2012年4月20日
読了日
2012年4月20日
本棚登録日
2012年4月20日
5
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『猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)』のレビューへのコメント

円軌道の外さん (2012年4月25日)


ハイカラさん、
遅くなってゴメンなぁ〜(汗)?

うん、ハイカラさんが
小川さん好きなことは
知ってたよ(笑)

俺、博士の数式のヤツと(笑)
この作品しか
小川さんのは
読んだことないんやけど、

コレはホンマハマったもん(*^o^*)

チェスは分からんけど
俺、将棋好きやし、
猫と象が出てくることをあらすじ読んで知って
絶対この作品ツボやわって思ってたら
案の定やって(笑)

やっぱ単純に
容易に映像が浮かんでくる文章やねんなぁ〜☆

だからどんなに突拍子な話でも
その物語の中に
気付けば浸ってるし、

あと小川さんは
物語作家やんなぁ♪

語り口がホンマ上手いから
どんどん引き込まれていくもん(^_^)v


ハイカラさんの言う
『確かなものをちゃんと置いていってくれる』っていうのも
スゴい分かるし♪


貰ったものが多すぎて
読んだ後の
余韻がスゴく残るよなぁ(*^o^*)〜



俺もまた順番に小川さん
読んでいってみるよo(^-^)o

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