([ん]1-6)3時のおやつ (ポプラ文庫)

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本棚登録 : 672
レビュー : 78
円軌道の外さん 料理・食べ物本   読み終わった 

それにしても『三時のおやつ』とは
なんと甘美な響きなんだろう。

生まれた時からコンビニがある今の若い人にはピンとこないだろうけど、
僕が子供だった頃はまだ
ご飯の時間以外に何かを食べるなんてすごく贅沢なことだった。
(勿論お金持ちの家は普通に食べてただろうけど)

幼い頃に両親を亡くし児童養護施設で育った僕には
そんなおやつの記憶も数少ないんやけど、
母親に唯一作ってもらったホットケーキと
食パンの耳をカラッと揚げて砂糖をまぶした「カリッと揚げ耳パン」の味は
今でもまだ舌が覚えている。

あっ、あと施設で作ってもらったいちごやメロン味のフローズンデザートの「シャービック」と
(知ってる人いる?)

友達の家に行くと必ずおばさんが作ってくれた
もやしとコーンたっぷりの
「サッポロ一番味噌ラーメン」も忘れ難い美味さだったなぁ~。


ということで本書は、
伊藤たかみ、犬童一心、大崎梢、大島真寿美、加藤知恵、越谷オサム、東直子、宮下奈都、柚木麻子など
三十人のクリエイターたちがおやつにまつわる思い出を語った、
食いしん坊体質なアナタなら
よだれタラタラな食エッセイ集。


中でも面白かったエピソードを挙げると
夜中の三時にお餅を揚げて塩で食べる「揚げおかき」を作って食べた絲山秋子さんの話。
(しかも本人は記憶にないらしい笑)
同じく絲山さんで笑ったのは、小学生時代、荷物用エレベーターを自ら作って木の上でバナナを食べていた話。
木の上で誰にも邪魔されずに食べるバナナは笑いたくなるほど美味しいらしい(笑)

あと、桃太郎世界を支配し動かしているものは明らかに吉備団子で、悪い鬼をやっつけたのは桃太郎ではなく吉備団子なのだと
吉備団子最強説を力説する森見登美彦さんの話。
吉備団子に似ているという奥様へのノロケ話は必読(笑)。

さつま芋や煮干しなど昭和初期っぽい(笑)おやつ人生を歩いてきた女優のミムラさんが出会った、
ぴょんぴょん飛び跳ねるくらい衝撃的な美味さのグミベアーの話や
(必然性のないもののほうがおやつ感が強く、ご飯から遠いほうがよりおやつっぽいという考察には妙に納得)

「おやつ、まだ~?」
「あともう少し、三時になってから~」
という親子のやりとりにほっこりし、
塩トーストの衝撃に
読んでる僕の喉までごくんと鳴った平松洋子さんの話。

他にもタルトへの過剰な思いに爆笑必至の万城目学さんの話や
母や妹に食べさせたくて大好きな給食のチョコクリームを食べずに持って帰る益田ミリさんの話にはちょっとウルウルしたし、
僕自身東京に来て初めて食べた時はその美味さに感動すら覚えた、
ペヤングソース焼きそばの隠された謎に迫る(笑)原宏一さんの話も面白かった。


疲れを癒やし
気分をリフレッシュさせてくれる
おやつという存在。

おやつを食べているとき、人は脳内幸福物質が分泌され
誰も彼もが笑顔になれる。

そして職場や学校で人間関係を円滑にするコミュニケーションツールとしても
絶大なる力を発揮してくれる頼もしいヤツ。

日本人の美意識からくる
「おもてなしの心」は
実は三時のおやつという習慣にも
ひそやかに息づいているような気がします。

表紙も可愛いのでインテリアにもなるし(笑)
(どんなインテリアや!)
一つのエピソードがサラッと読める長さなので
通勤通学のお供にもピッタリだし、
食エッセイ好きなら
なおさら至福の時が過ごせる一冊ですよ(笑)

レビュー投稿日
2014年11月2日
読了日
2014年11月2日
本棚登録日
2014年11月2日
22
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