斜陽 (新潮文庫)

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レビュー : 1077
著者 :
mayaさん  未設定  読み終わった 

太宰治は、これを読む前といえば、
「走れメロス」しか読んだことが無かった。
本来はもっと、濃い、暗い、どんよりとした作品を書く人、
というイメージはありました。
でも、わざわざ暗くて後味の悪そうな本は読みたくない、
と、元々「その手」の本は敬遠するタチでした。
それが、授業の関係上避けられなくなって、読んだ作品。

「斜陽族ってなんだそりゃ、、、」
滑稽だな、位に思っていましたが、読んだ後で前言撤回。
滅びの美とは、このことか、と。
人が堕ちていくとは、このことか、と。
それを「革命」と呼んでみたり。
何しろ、かず子の言葉遣いがあまりに素敵。
直治の哀れな手記も、
どうやったらこんなに退廃的な文が書けるのだろう、と思った。
もっとも、後に「人間失格」を読んで、
更に強烈な廃人を目撃することになったのですが。

カズオイシグロの「日の名残り」と同じタイミングで読みました。
それぞれ、人生の黄昏時を描いているわけですが。
「日の名残り」のスティーブンスは、
滅びていくものを受け入れ、
新しい幸せに向かっていることが見えるけれど、
直治は死ぬし、美しいお母様も死ぬ。
かず子も、希望なんて実際見えやしない方向へ向かう。
より不幸へと向かっているように見える。
向かう方向は、違っていても、
黄昏時が美しいことには変わりがない。

ぼんやりとそんなことを思ったものです。
あまりにインパクトが強くて、
本当に、感じたことを丁寧に表現しようと思ったら、
以前書いた小論文と同じ位、
強烈に神経張り巡らして、推敲して、推敲して、
じゃないと書けないや。だからこの辺で。
M.C.

レビュー投稿日
2012年9月11日
読了日
-
本棚登録日
2012年3月4日
6
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