ナショナリズムとジェンダー 新版 (岩波現代文庫)

著者 :
  • 岩波書店 (2012年10月17日発売)
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5

私見
刑事裁判実務では「自白偏重司法」と言われるほど、被害者証言は時に補強証拠が脆弱であっても認められる。
しかし、歴史、特に戦争犯罪においては被害者証言は(処分されたことが明白な資料の不存在を理由に)軽んじられ、「公文書が見つからない⇒事実かどうか証明できない」と切り捨てられ、時に「カネ欲しさのでっち上げ」と非難されるという矛盾

メモ

慰安婦問題
三つの犯罪
過去
戦時強姦
現在
戦後半世紀にわたるその罪の忘却や被害認知の拒否

現在進行形や未来
長い沈黙を強いられ、告発したときにはカネ欲しさの嘘つき呼ばわり

キーセン観光、セックスツアー
カネの力で性的侵略?

慰安婦→民族の恥?被害者の恥?⇒×加害者の性犯罪へと変化

戦時強姦
権力支配誇示や弱者への攻撃を通じて連帯を確立する儀式
敵国兵士への象徴的侮辱

沖縄の韓国人慰安婦
当初は慰安所設置反対→軍「良家の子女の貞操を守るため」
沖縄差別→準占領地
韓国人慰安婦の存在により沖縄女性を守る?

1925年
醜業協定、醜業条約、婦女売買禁止条約
1932年
ILO強制労働条約
⇒公娼制度そのものが条約違反(韓国が日本だったとすれば、それを慰安婦問題責任回避のロジックに入れるのがそもそもおかしい?)

自由主義史観
西欧列強も同じような悪いことをしてきた→彼らはそれを謝罪していない⇒したがって西欧列強に肩を並べる日本は西欧列強並に振舞って当然、という論理

娼婦としての稼ぎ時や世界に見る娼婦の年齢層
ほとんどが十代⇒中高生
SNSや援交等の性的アクセスにさらされる年齢に戦争についての暗黒面を教えるのに、性についての暗黒面を教えないのは説明がつかない

60年代の日独若者比較
独「何よりもダメなドイツ」(エッツェンスペルガー)をもたらした親の世代の責任を問う世代間対立⇒スチューデントパワーの担い手がマスコミや教育現場なの社会の各層に散らばり、戦争責任の掘り起こしに努める

日「戦争を知らない子供達」というフォークソング等他人事

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2013年1月20日
読了日 : 2013年1月20日
本棚登録日 : 2013年1月20日

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