殉愛 (もえぎ文庫)

著者 :
  • 学研プラス (2011年11月15日発売)
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本棚登録 : 70
感想 : 9
5

究極愛の世界が2編収録。衝撃作です。ハンパなく痛い話ですが、押し付けがましくただ痛いわけじゃありません。どちらのcpも精神面での愛の成就がしっかりあります。
「殉愛」は、長年連れ添った妻もいる43歳の部長が、ふとしたきっかけから部下の青年と愛し合うようにあってしまうのですが、その部下である朋之はもうすぐ結婚する身で、しかも上司である阿久津が仲人をつとめることに…という話。そして、朋之が結婚しても関係を密かに続け、妻に浮気を疑われても止めずに、挙句の果てに友之を単身赴任させ二人きりの世界を構築しようとします。もうドロドロのBL版W不倫!
両方の妻が登場して、阿久津側は不妊、朋之側は懐妊で阿久津の妻が浮気相手を誤解するという、お昼のメロドラマもびっくりなストーリー展開です。
男同士で忍びあう恋を、ここまで現実的に泥臭く描いたものを読んだのは初めてです。阿久津が朋之にどんどん溺れていって、エスカレートしていく気持も、ごくふつうのリーマンだった朋之が阿久津との逢瀬を重ねるごとに淫乱になっていく様も、とても切なくて衝撃的。恋愛で人生が一変して、どんどん深みにはまっていく過程がリアルです。この二人を馬鹿だと一笑するわけにはいきません。愛が激しすぎて、最後はBEですが彼らの姿には納得がいきます。

究極愛といえば「メビウスの環」の方がさらに象徴的です。
不幸を恨み、貧乏を恨み、医者になった雄一と、生まれながらにして医者の家庭に育った秋生の10年愛はいびつで、残酷です。野望に燃える雄一は秋生を捨てて、彼の妹夏実と結婚しようと画策します。でも、雄一が目覚めるとベッドの隣で夏実が遺体になっていて、覚えのない殺人事件の犯人となってしまいます。
雄一は一番近くにあった愛に気付くことなく、大切なものをないがしろにしてしまったた罪を犯しています。最後の最後の土壇場でそれを自覚する雄一と、報われない愛に全てを捧げた秋生に涙です。
愛と憎しみは表裏一体、まさにメビウスの環のようで深く考えさせられる話です。

2編とも驚愕させられるしBEで読後の疲労感は相当です。しかし、シビアな究極愛、男同士の執着愛がこれほど胸に迫る作品はBLでは珍しいと思うので、死にネタBE敬遠派の方にも一読をおすすめします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 綺月陣
感想投稿日 : 2011年11月21日
読了日 : 2011年11月21日
本棚登録日 : 2011年11月21日

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