作者さんの初コミックスは平安末期を舞台にした時代物でした。
平安時代のBLは希少で、この作品もツカミはOKだったんですが、個人的にハピエン好きで萌え重視な体質なもので…
美貌と身体で権力者たちを篭絡し、武家の三男でありながら上皇の寵愛を受けるまでに成り上がった高前が主人公。
ストーリーはすごく面白かったです。高前がかなりあざとい手段でのし上がっていくのは見どころでした。
でも、欲を言えばもう少し高前の心理描写が欲しかったような。汚い手口で、色んな人達を傷付けてそこまでして彼が欲しかったものに対する執着が理解しにくかったのです…そこまでひっ迫するような思いが想像力不足で最後までわかりませんでした。
「なぜすがらぬ」と言われていましたけどね。私もまったく同感な凡人です。
ただ、高前があらゆるものを差し出し、踏み台にしてのし上がっていった中で、ひとつだけ「矜持」だけは死守したのは間違いないですね。高前を欲しがる男たちは、生まれながらにして身分や地位を持っていますが、彼にはそれがありません。出発点からしてまったく違う立場でプライドだけが拠り所だったのだろうな、とそこまでは察することができました。
私のような読者のために、高前の人格形成の過程とか、そのひととなりとか心境とかを掘り下げて描いてもらっていたら、もっと理解できて好感度も上がったかなと思います。
それに比べて、攻の智実は貴族の息子らしく、鷹揚で多少のことではブレない魅力的な人柄に感じられました。感情も素直に出るので受け入れやすいキャラでしたw
ハッピーエンドじゃない話でも好きな作品いっぱいあるんですが、攻受のHシーンに救いがなくて萌えもないというのはキツかったです。
- 感想投稿日 : 2013年8月1日
- 読了日 : 2013年8月1日
- 本棚登録日 : 2013年8月1日
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