204号室の恋 (ディアプラス文庫)

著者 :
  • 新書館 (2006年12月8日発売)
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本棚登録 : 162
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よく考えたら、手違いで同居することになってしまった美大生とスーパーの店長代理の男同士が恋に落ちるなんてありえない話なのに、そこに大した疑問も抱かせず胸キュンな話に仕上がっているのがすごい。
手違い同居設定は、少女マンガでよく見かけるパターン。でも、柚上が几帳面で規律に従順な生真面目男なので、単純な事柄もなぜかややこしくなったりして、ヒネリが効いています。どこへ話が転がっていくのか面白くて目が離せませんでした。

性格は素直なのに世間の常識や規則にがんじがらめな29歳の柚上。同居することになった片野坂は、対照的に何事にもゆるーく享楽的に生きているように感じられるのですが、実はとても孤独な青年。柚上がそんな片野坂の淋しさや思いやりに気付かされ、二人の距離が近づくきっかけが深酒。酔っ払った時にしか本心も出せなくて、信楽焼のたぬきに絡む柚上は見ものです。
タヌキだけじゃなくて、佳映やユキヤなど周囲の人々にもかなり翻弄されて、悩みながらもどんどん片野坂への想いをつのらせる柚上が、いいオトナなのにかわいくて仕方ありません。

二人の誤解から生まれるすれ違いにじれったくなりながらも、心がほんわかしたり。
でも、Hシーンはほんわか~とみせかけて、かなりエロです。
自分の方がオトナなんだからと妙な頑張りとリードにこだわる柚上を、「かわいい」と思える片野坂の包容力あふれる攻め方がステキです。プラス、やさしそうに見えて実はかなり意地悪Hなのも技あり。柚上を羞恥攻めにしています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 砂原糖子
感想投稿日 : 2011年10月27日
読了日 : 2010年9月23日
本棚登録日 : 2010年9月23日

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