旦那様は恋人を拾う (白泉社花丸文庫 ま 5-1)

著者 :
  • 白泉社 (2012年2月21日発売)
3.12
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本棚登録 : 77
感想 : 9
3

一昔前のレトロな雰囲気が、呉服問屋を舞台にした物語を盛りあげていて一層ロマンティックでした。
六花は10年前に「伊勢屋」の若旦那に拾われて以来、彼の身の回りの世話をしながら一緒に暮らしています。緑の瞳に茶色の髪という日本人離れした美形で、性格も素直でかわいい六花を、桐一郎は大事に大事に育てて溺愛。
そんな桐一郎の過保護なかわいがり方に、とても甘い気分に浸れるストーリーです。すごい偏愛ぶりなんです。でも、さりげなくさらりとした態度しかみせない!このあたりの距離感が読んでいて心地よく、できた人だなぁと思わせてしまうすごさなのです。
しかし、忘れてはいけません。桐一郎はとても紳士なんですが、17才の時に、5歳の六花を見つけて以来ずっと側に置いているんです。そして、一からものを教えて、育てている恋人育成ゲーマー。
もちろん、世間知らずで初心で素直に育った六花は、「おまじない」に抱っこに添い寝とかなり濃厚なスキンシップを受けていることに何の疑問も抱かず自然に受け入れちゃっているのです…萌えます。

しかし、桐一郎も純情天然な六花に振り回されてしまったりしているんですよね。六花のことが心配でほっとけない桐一郎は、余裕あるように見えて意外に狭量だったりするのが微笑ましいです。彼が心から六花を愛していることがわかるところに安心感があります。
そして、オトナの黒さも持ち合わせていて、策略もしっかりめぐらせてるんです。
全ては、恋の成就のためとわかるのですが、そのせいで六花は桐一郎の婚約話に悩むことになり不憫です。桐一郎への想いが恋心だとは気付かず、彼の結婚話を祝福できない自分を責めて、距離を置こうとしてしまう六花が非常に健気でした。
でも、家出なのに、物慣れない六花は荷物もうまくまとめられなくていろいろ忘れ物してしまうんです。でも、気付いたらちゃんと全て揃っていて、その上夢には桐一郎まで現れて…
なんと言う過保護ぶり!家出を助ける旦那様。でも、案外そういう甘やかし方が悪くないんですよね。

ストーリー自体は甘さ多めで、TL系の仕上がり。
エロ的には、たくらみ攻らしく、かわいい子をちょっといじめて泣かせちゃったりするHが萌えます。自分好みに育て上げた成果がとても感じられる濡れ場で、煽られました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 間之あまの
感想投稿日 : 2012年7月17日
読了日 : 2012年7月17日
本棚登録日 : 2012年7月17日

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