なぜ投資のプロはサルに負けるのか?― あるいは、お金持ちになれるたったひとつのクールなやり方

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著者 :
takaさん 資産運用   読み終わった 

日本国民は、学校から資本主義や市場経済の仕組みについて何も学ばないまま、卒業と同時に市場原理が支配する弱肉強食のジャングルに放り出される。

正しいお金の知識無しに、お金を増やしたり、守ったりすることはとても難しい。

しかし、それほど簡単なら、どうして日本国民はファイナンスに関してこれほど無知なのでしょうか?それは、正しいファイナンスの知識の何倍もの量のオカルト情報がメディアに溢れかえっており、そのようなノイズの中でどれが正しい知識なのかを、一般人が見分けることは至難の業。
本屋さんの投資コーナーに行くと、この手のオカルト投資指南本と、大学教授が書いた堅い経済学の教科書がいっしょに売られている。
それなのにどうしてそのへんの千数百円の本に「投資の必勝法」が書いてあるのでしょうか?百歩譲って仮にそんな方法があったとして、どうしてそれを、わざわざ本なんかに書いて、みんなに教えなければいけないのか?

そんなもうかる投資手法を知っている大先生なら、どうしてセミナーなんかでわざわざお金を稼がなければいけないのか?
そんな投資手法は存在しないので、確実に小銭を稼げる出版やセミナーでお金をもうけて、六本木のキャバクラで遊んだり、南の島でクルージングしたり、不安でいっぱいの自分自身の老後に備えたいからです。

宝くじでもベガスのスロットでも当たる人は当たって大金持ちになるのと一緒でそういった本の著者やセミナーの講師自身が、今後も運が続くとは限らないということを一番よくわかっている。だから安定した収入を得ようと本やセミナーを開く。

世界的なファンドマネージャーや投資銀行のスタートレーダーというレベルの人材は、オリンピックでメダルを取るとか、大リーグやセリエAで主力選手として活躍するような、ずば抜けた才能とそれを生かす超人的な努力をする能力を持ち合わせている。
素人が敵う相手ではない。

LTCMはノーベル経済学賞受賞者をはじめとするファイナンス学会最高の頭脳と。ウオール街の伝説的トレーダー達が設立。
しかしこのドリームチームはたった数年で大損失を出して破綻した。投資のプロ中のプロが束になっても、あっさりとサルの以下の成績だったり、子供騙しの投資助言ビジネスが繁盛したりする。

ウォーレンバフェットの言っていたゲームで
たとえば日本国民1億2千万人全員が参加するコイン投げ大会で、毎日夜の8時にひとつコインを投げられます。このコインは表の出る確率が50%、裏の確立が50%。毎日夜の8時までに表か裏に100円かけないといけません。また何人の国民がどちらに賭けているかリアルタイムですべての国民が知らされます。
負けた人のコインはすべて勝った人に分配され、負けた人は退場します。勝った人は翌日すべてを賭けないといけません。そして1日目、国民がどんどん表か裏に100円を賭けはじめました。午後7時の時点で、表に4000万人、裏に3000万人賭けていたとしましょう。この時点では裏に賭けたほうが得なのでどんどん裏に賭けようとします。当たる確立が半々ならこの時点では裏に賭けたほうが得なので、このように理論値を計算して有利なほうを買う投資家をアービトラージャーといいます。株式にはこの投資家がいたるとこに存在する。1日目は6000万人ずつに分かれ国民の半分は100円をもらうことができた。残りは退場です。2日目は200円を持った6000万人が3000万人になり、400円を手にしました。3日目には800円くらいなので話題になることもないでしょう。10日目にはどうなっているでしょうか?
約12万人の人が生き残っていて、わずか10日で10万円を稼いだことになります。このころには運のいいだけのこの人たちは、コイン投げの才能に恵まれているかを吹聴しているかもしれない。
さらに10日後はだいたい120人で大体1億円持っている。このころになると、この人たちは正気ではいれず、「1日5分の努力だけ!20日で1億稼ぐ方法」なんて本が出版されます。過去のコインのパターンや裏表を予想する本、金持ち父さんが教える、投資の天才を育てる教育法なんて本が出るかもしれない。彼ら天才コイン投げ投資家の書いた本を勉強すれば、誰でもコインの表裏をあてられるようになるというわけです。

お金持ちになる方法はたったひとつの方程式で完全に記述できる。
1年間で増える財産=(年間収入―年間総支出)+年率運用利回り×運用資産
要するにお金持ちになるためには①収入を増やすか②支出を減らすか③利回りをあげて投資からの収入を増やすという、みっつの方法しかない

ひょっとしたら投資に成功するために必要なのは、難しいファイナンス理論や投資の専門知識ではなくて、子供でもわかるような常識なのかもしれない。誰がどういう目的でどういう商品を売っているかということをちょっと考えてみるだけで、人生というのは少なくとも経済的にはかなりよくなっていくようです。

実は高度のファイナンス理論もすべて「1ヵ月後の10万円より、今日の10万円のほうが価値が高い。なぜならば利子があるから」という原理の上に構築されている。

殺人事件とかテロとかドラッグとかエイズとか、何かとひとを不安にさせるようなニュースがいつも流れていますが、日本に住んでいる場合、圧倒的に人を殺しているのは車です。だいたい1年に7000~8000人程度のひとが交通事故でなくなります。殺人事件と狂牛病とテロとドラッグの犠牲者のすべてを足しても子の数字には到底達しません。

買い物や飲み会にデートと、使いたいときにいつでもタクシーを使ったとしても、月に10万円を超えることはそうありません。
経済界のシグナリング理論

生命保険と宝くじは非常によく似ている。どちらもゼロサム
保険金が支払われないということは、死んでしまうなどの不幸が起こらなかったわけで、喜ぶべきことなのです。ここが当選すると喜ぶ宝くじと違うところです。生命保険は当選しないことに意味があるのです。半分以上が胴元にとられる。

3000万円の家を、金利5%の35年ローンで買うと、ローンの返済方法にもよるが。大体3000万円ぐらいを利息で銀行に払うことに。

人間というのは、「非常にまれな確立でとてつもない利益が飛び込んで来るが、ほとんどの確立で僅かな損をする」というケースと、「ほとんどの確立でわずかな利益をえることができるが、非常に稀な確立で損失を被る」というケースで比べた場合、期待リターンが同じでも圧倒的に前者を好む。
「0.1%の確立で100万円が貰えるけど、99.9%の確立で1000円没収」というくじと、「99.9%の確立で1000円貰えるけど、0.1%の確立で100万円支払わなければいけない」くじだとどちらを選ぶ?

ギャンブルや宝くじの運営では、ファイナンシャル・インテリジェンスが少々不足している人たちからどうやってお金をむしり取るかということがキモになる。そのためには、リスクやリターンの話は極力隠蔽して、ロマンや夢を語るのがいい。

ローンで買う家はあなたのものじゃなく、実質的には銀行のもの。
将来の100万円より今日の100万円のほうが価値が大きい。
金利というのは、今日のお金の価値と将来のお金の価値を結びつける定数。

忘れられがちだが、銀行にお金を預けるとは、銀行にお金を貸しているということにほかならない。

現在価値が100万円、将来価値は110万円なので、将来のお金のほうが価値が高いと考えるのはよくある勘違い。

金利というのは相手が信用できるほど下がり、逆に信用できないほどあがる。

1602年に設立されたオランダ東インド会社が人類最初の株式会社。
船を建造するのに必要な莫大な資金や船員の給料を、みんなで出資してみてはどうかと提案したのです。金持ちが何人か集まって、いっしょにプロジェクトに必要な出資金を用意します。そして、船が金銀財宝や香辛料を無事にもって帰ってきてくれた暁には、出資金に応じて、それらを山分けすることにしたのです。また船員が全員死ぬようなことが起こっても、出資した金額が全部なくなるだけで、それ以上の損失はかぶらなくてもいいという、有限責任の仕組みも取り入れました。冒険家は命を賭ける見返りに、金持ちの出資者と給料や成功報酬の交渉をしました。株式会社の卵のような仕組みが生まれ大航海時代を変えた。

いくら出資したかを書いた証書を、株券と呼びました。この株券は自由に売買することができるようになった。株券を売買する場所が発展し、株式市場が生まれた。
株にしろ、不動産にしろ真の価値を見積もることができるのなら、長期的に投資で勝ち続けることが可能になる。市場でたまたまついている価格が、計算した真の価値より高ければ売って、安ければ買えばいいだけ。投資とは非常にシンプルなもの。

プロ集団の運用成績を平均すると、サルがダーツを日経新聞の株式欄に投げてランダムに銘柄を選択して投資するより悪い。

LTCMで一番大損ぶっこいたのはスイスの名門銀行でヨーロッパ最大の投資銀行であるUSBで、約7億ドルぶっとばした。日本の住友銀行も1億ドルほどぶっ飛ばした。メリルリンチや、レディスイスなどの世界的な投資銀行が面白いほど大損している。

例えばテニスの試合だったら、シャラポワがその辺の中学校のテニス部の女の子にまけるということは万にひとつもないでしょうが、投資の世界では、このような一流のプロフェッショナルがアマチュアどころか、サルにさえ簡単にぼろ負け。

株式市場で、その株をなるべく高く売りたい人と、その株をなるべく安く買いたいひとの提示する価格がたまたま一致したときに、売買が成立して株価が決まる。

本来1000円の価値がある株が市場で500円の価格で売られていたら、この株を500円で買ってしばらく持っていれば株価は1000円に戻って500円もうかる。バフェットのバリュー投資はこういった考え。

何もないところからお金は湧き出してこないから、ヘッジファンドや証券会社のトレーダーのもうけは、何も知らない国民の損失から。

レビュー投稿日
2016年5月9日
読了日
2016年5月9日
本棚登録日
2016年5月9日
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