本書はオギーが脇役に回ったワンダーのスピンオフだが、こんなに本編に匹敵する素晴らしいスピンオフはなかなか無いのでは無いかと思う。
いじめっ子ジュリアン、引っ越した親友クリストファー、ベン図大好きシャーロットが主役の中編集だが、特に素晴らしいのはジュリアン。
筆者が今作を書くことを決めたのはジュリアンに関するネット上の活動を受けてだということは、前書きを読んで分かるが、これほどまでに美しい着地を見せるとは。。
ナチにまつわる絶対悪を絡めるストーリーは、実は良くある語り口だと斜に構えてしまうが、前途ある若いジュリアンが心からの反省に至る描写が感動。見事。それが、読者である自分自身(もうすぐ40代の大人)が持つ保身や自己欺瞞の心にビシビシ来る。
本編のクライマックスはトゥシュマン先生によるオギーの持つ「勇気」への賛辞だが、このスピンオフはそれぞれ主役である三者がそれぞれの「勇気」を獲得、もしくは再獲得する話でもある点も素晴らしい。
最高でした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年2月13日
- 読了日 : 2019年2月12日
- 本棚登録日 : 2019年2月5日
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