非常に人間に辛い作品だなぁと感じた。
淡々としているというより、感傷に浸るということがない。登場する人々はだいたいだらしなく愚かで、その日暮らしの貧しい暮らしである。しかしそれを描写する秋声の筆に、庶民の愛しさや切なさのようなものは全くない。みんな嫌な人に見えるのだ。
お島さんは作中で何度も泣いているのに、そういう印象は全く残らず、ただ猛り狂うように怒ってばかりのあらくれ者に見える。なぜ彼女は心を許せる人と出会えないのか。なぜ彼女は誰かと協力できないのか。作者は人間をどう見ていたのかなということに興味を持った作品だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2020年11月23日
- 読了日 : 2020年11月23日
- 本棚登録日 : 2020年11月23日
みんなの感想をみる