地獄変・偸盗 (新潮文庫)

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本棚登録 : 2017
レビュー : 175
著者 :
抽斗さん どこかにあると、まだ信じてる   読み終わった 

「地獄変」「薮の中」「六の宮の姫君」等、芥川龍之介の”王朝もの”6篇を集めた短編集。

私は泥臭い人間の上に、劣等生気質じみた嫉妬深さがあるせいか、どうも芥川龍之介に対する「あこがれ」がないようである。
理知的でかっこよく、格調高くてシャープな文体とその内容をうらやましいと思いはすれど、あまりそこに惹かれない。晩年の作品を読んでいないための思い込みだろうか?

なんとなく、芥川龍之介は「あこがれ」られている人だなー、というイメージがある。
そういう位置の人なのだろうなぁ、と、勝手に思ってしまっている。
一言で言うと、なんだか身近に感じないのだ。彼の痛みは高尚すぎる気がしてしまうのかもしれない。

なので、この短編集で私がもっとも好きだったのは「六の宮の姫君」だった。
もとより評価の高い短編らしいが、私はこの作品をもっとも「生きてる」と感じた。「地獄変」ではその炎の熱さを感じなかった私だが、この短編では風の冷たさを感じた。氷よりももっと冷え冷えとした、雨の匂いを感じた。

「あれは極楽も地獄も知らぬ、腑甲斐ない女の魂でござる。御仏を念じておやりなされ」  ――六の宮の姫君 より

レビュー投稿日
2012年3月5日
読了日
2012年3月3日
本棚登録日
2012年3月3日
3
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『地獄変・偸盗 (新潮文庫)』のレビューへのコメント

Pipo@ひねもす縁側さん (2012年3月5日)

芥川の王朝ものはいいですね。華やかさはみじんもなくて、炎と冷たい雨とはねる泥、、吹きすさぶ風のイメージを持っています。

自分がまるっきり凡庸な人間だからか、学生の頃からあの冷やかで克明な筆致が好きで、今でもたまにページをめくります。芭蕉の臨終の日を追った『枯野抄』もいいですよ。

抽斗さん (2012年3月6日)

私はどうもその、芥川のシャープさが近寄りがたくて苦手(というのとも違う気がしますが)なのですが、「六の宮の姫君」はしみじみと情景が伝わってきました。
『枯野抄』も、その設定に興味を惹かれました!「六の宮~」と同じ匂いがしそうで(笑)。機会があったら、手に取ってみたいと思います(^^)。めもめも。

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