戦争と平和(二) (新潮文庫)

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本棚登録 : 541
レビュー : 34
著者 :
制作 : 工藤 精一郎 
抽斗さん 殿堂入り   読み終わった 

第一巻で整えられた舞台と、大きな大きな予感とが交錯し、絡み合って、目にも綾な物語が織りなされる第二巻。

本当にどれも素晴らしいエピソードばかりで、何から、そして誰から言えばいいのかわからない。
だがあえて言えば、前半がピエールで後半がナターシャ、だと思う。

ピエールがフリーメーソン会員になるのには本当に驚いてしまった。一体彼はどうなってしまうのだろう、宗教的なものに目覚め、彼と言う人間は変わってしまうのだろうか、ととても心配した。
しかし、ピエールはやはりピエールのままだった! 彼は苦悩し、求め、そして行いをするが、それは彼にとって結果を生まない。物事は常に彼の思い込みを嘲笑うかのように、彼に自身の無力さを突きつける。
けれど、ピエールはそれでも理想を捨てないし、善意を尊いものと考え、そして人を愛そうとするのだ。そして、わかる人にはそれがわかっている。わからない人が大半だけれど、そういう人たちは彼を滑稽な人間だと思いまたそう扱うけれど、それでもピエールのその温かい気持ちと人柄は必ず伝わる人には伝わっている。
彼は不器用で全然実際的な物事には向かないけれど、それでも彼という人間にしかできないことを感じさせてくれる。彼が唯一の人物であると。

そして、ナターシャである! 
いやはや、びっくりしてしまった。第一巻を読んだ時から、「この子は絶対美人になるだろうなぁ」とは思っていたが、まさかここまで美しくなるとは思わなかった。
彼女がアンドレイ公爵と踊る場面の、なんと美しいことだろう……
それだからこそ、この巻の最後のエピソードで全く筆を滑らせなかったトルストイに驚嘆する。
ナターシャがアナトーリに見つめられ、そして話しただけで良心の呵責を感じるということの、この説得力……どうしてトルストイはそんなことがわかるのか? どうして美しい女性の葛藤、それも輝かんばかりの、この上なく魅力的で、しかも若い(!)ナターシャの気持ちが、こんなにもわかるのか?……

誰もが自分の気持ちのために笑い、話し、愛し、そして葛藤する。けれどもそれは決して利己的なものではなく、それが生きるということ、それこそが生きる原動力であるということ。私達は自分の感情のために動く、そしてそれが世界を作る。

素晴らしいものを読んでいるなぁ、という幸福感を抱きながら、第三巻へ。

レビュー投稿日
2013年12月2日
読了日
2013年11月24日
本棚登録日
2013年11月24日
3
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