戦争と平和(四) (新潮文庫)

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本棚登録 : 475
レビュー : 34
著者 :
制作 : 工藤 精一郎 
抽斗さん 殿堂入り   読み終わった 

幸福な読書だったなぁ、と思う。

3巻から作者トルストイの「語り」が多くなり、うーん?と思う部分もしばしばあり、もっと正直に言えば辟易する部分もなきにしもあらずだった。しかし、それでも、私はもうこの物語を読み終えてしまった。

『戦争と平和』というタイトルの通り、トルストイが描きたかったのは、おそらく「人間の意思」だったのではないかと思う(個人としても、「われわれ」としても)。しかし、この最終巻である4巻を読んで特に感じたのは、トルストイは人間の「仕組み」や「歴史」を描くよりも断然、人間の「魂」を、感情と性格を描く方がまばゆいばかりの光を放つということだ。
彼の人間を描く筆、それもたくさんの、実にさまざまな人間を描き分け、しかもその一人一人を生き生きと立ち上げ思考し活動する筆は、本当に圧巻というほかない。

そして「人間の魂」という点でもう一つ思ったのは、トルストイにとって結婚とは、そして家庭の幸福とは、相当に大きなテーマだったのだな、ということだ。
アンナ・カレーニナの有名な冒頭(「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」 望月哲男・訳)からして、彼がいかにこの問題にずっと取り組み続け、また生涯においてこれに悩み続けたかがうかがわれる。

彼はその晩年、妻との不和に苦しみ、そして家出をする。そして、世界的に名を知られる文豪であり、「あと100年生きてください」と言われるような作家であったにも関わらず、家出の末に寒村の小駅で死去する。

これは馬鹿げたことだけれど、もし、私がトルストイと友人だったとしたら、私は彼に、あなたは素晴らしい、あなたは素晴らしいものを書く、けれど、あなたは考えすぎだ、と言うかもしれない。
本当に馬鹿げた、滑稽な話だけれど。……

レビュー投稿日
2014年1月22日
読了日
2014年1月22日
本棚登録日
2014年1月22日
8
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『戦争と平和(四) (新潮文庫)』のレビューへのコメント

debuipipiさん (2014年1月22日)

抽斗さん

読破おめでとうございます!

抽斗さん (2014年1月23日)

>debuipipiさん
読破をお祝い(?)されるなんて、この長編ならではですね。なんだか妙に嬉しいです。ありがとうございますm(_)m

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