ハイデガー哲学入門──『存在と時間』を読む (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2015年11月19日発売)
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感想 : 22
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・一度「存在」への問いに囚われると、そこから完全に逃げ出すことはできなくなり、「存在」を気遣い続けることになる。逆に言えば、「気遣」っているからこそ、「現存在」は「実存」として「存在」しているのであり、「気遣い」しなくなった時、「現存在」はもはや「存在」しない
・「死」をもって、自分の現存在の全てが顕わになるが、その瞬間を自分で経験することはできない。「死」の瞬間に、経験する主体である自分自身が消滅するからである。「死」をもって、各人のそれまでの各種の気遣いや、自明視してきた有意義性の連関も消滅する(ように思える)。「世界」がその後も”存在”し続けるかどうか分からないし、たとえ”存在”し続けたとしても、もはや「現」を失った”私”にとっては無意味である
・ハイデガーは、死へと関わる本来的存在の核心は、「(死の)可能性への先駆」にあると見ている。つまり、自らの「死」と対峙することを「回避」するのではなく、必ず到来する「死」を自らの存在の「終わり=目的」として見据え、そこに向かって自らの実存を「投企」し直すということである。平たい言い方をすると、「死」を意識し、そこに至るまでの自分の生き方を、積極的な意味を見出すことができるような仕方で、再イメージ化する、ということだ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月4日
読了日 : 2016年3月6日
本棚登録日 : 2018年11月4日

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