絶叫委員会 (ちくま文庫)

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本棚登録 : 880
レビュー : 111
著者 :
suenaganaokiさん  未設定  読み終わった 

読んでいる間ずっと、幸せでした。
著者がまちで出合った言葉を掬い上げ、考察した本。
まず、冒頭あたりにある著者の友人の短歌に感じ入りました。
「『俺の靴どこ』が最後の言葉ってお母さんは折れそうに笑って」
巧まざるユーモアに、思わず吹き出すものも。
たとえば、姿を消して久しい駅の伝言板にあった言葉。
「犬、特にシーズ犬」
よく分からないのに面白い。
談志のイリュージョンにも通じるところがあります。
若い男の子同士の会話もいいなぁ。
「俺さ、Tシャツないんだよ」
「俺あるよ」
「嘘まじ?」
「うん」
「Tシャツだよ」
「うん、Tシャツ」
「あるの? Tシャツ」
「めちゃめちゃあるよ」
「1個くれよ」
「うん、やだ」
「2軍でいいからさ」
この他愛無さ。
著者の言うように、「2軍」がいい。
あと、やっぱりフレッド・ブラッシーの逸話ですね。
母から「リングの上の怖ろしいお前と、私の知っている優しいお前と、どっちが本当のお前なの?」と聞かれた時のブラッシーの答えがこれ。
「どちらも本当の私ではない」
痺れる。
痺れます。
これらはほんの一部。
意外性に満ちた言葉の数々に括目しきり。
それらを拾い上げる著者の目線の低さにも敬服します。
さて、本書でも、言及していますが、うっかり下手なことを言えない時代になりました。
正論、正義が大手を振ってネット世界を闊歩しています。
大変に息苦しい時代。
そう感じている人にぜひ読んでほしい。
世の中、捨てたもんじゃないと感じると思います。

レビュー投稿日
2019年2月25日
読了日
2019年2月25日
本棚登録日
2019年2月25日
4
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