ひきこもれ <新装版> ひとりの時間をもつということ (SB新書)

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本棚登録 : 241
レビュー : 10
著者 :
suenaganaokiさん  未設定  読み終わった 

自分はひきこもり体質。
大学時代は学校をサボって自宅にひきこもり、サークルの会長もしていましたが、活動がなければ、やはり自宅にひきこもっていました。
たいてい本を読んで、ボーッと考え事をしていましたね。
20年ほど前でしょうか、社会人になってから、ゴールデンウイークの休日5日間を部屋で一人きりで過ごしてみて、はっきりと自覚しました。
人に一切会わないのが、全く苦痛じゃないのですね。
さすがに3、4日目くらいから人恋しくなるのでは、と思いましたが、5日目も「このままずっとひきこもっていたい」と思うほど。
危うく社会復帰できなくなるところでした。
でも、ひきこもりって、そんなにいけないこと?
むしろ、積極的に評価すべきでは。
これが本書の主題です。
著者は、「知の巨人」とも言うべきあの吉本隆明(1924~2012)。
コロナ禍の中、本書は新装版として9月に出版されました。
ひきこもりは、社会的にマイナスイメージでとらえられます。
コミュニケーション重視の流れが強まる中、ひきこもりはいよいよ立場がない。
でも、本書のこんな記述にハッとさせられます。
「世の中の職業の大部分は、ひきこもって仕事をするものや、一度はひきこもって技術や知識を身につけないと一人前になれない」
自己実現理論で知られる心理学者、アブラハム・マズローによると、自己実現を達成した人には「友人が少ない」という共通点があるのだとか。
「引っ込み思案は駄目で、とにかく社交的なほうがいいいんだ」という社会に支配的な価値観に対しても、吉本は明確にノーと言います。
「その人なりの他人とのつながり方というのがあるのです」という言葉に、救われる人も多いのではないでしょうか。
実は、吉本自身が引っ込み思案で社交下手。
ですから、「若者たちよ、ひきこもれ」という呼びかけには、説得力があります。
「教師が生徒と向き合おうとするから生徒は迷惑する」
「学校なんかに期待する親は大きな間違いを犯している」
「子どもの自殺は親の代理死である」
「ひきこもっていることがマイナスにならない職業がいつか見つかる」
「戦争で死んだ日本人を歴史から抹消してはいけない」
など、吉本の透徹した批評眼を経た問題提起に、得心することしきり。
ちなみに、ぼくは、コミュニケーションだけやたらと上手くて中身のない人より、寡黙だけれども存在感のある人に憧れます。
じゃあ今の自分はというと、コミュニケーションがあまり上手くない上に中身がなく、少しおしゃべりで存在感が全くありません。
死のうかな。

レビュー投稿日
2020年10月14日
読了日
2020年10月14日
本棚登録日
2020年10月14日
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