「母と息子」の日本論

著者 :
  • 亜紀書房 (2020年7月21日発売)
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本棚登録 : 178
感想 : 19
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母親と息子の関係を軸に、日本社会の特性について考察した本。

母親は、その能力を社会に向けて発揮するのではなく、息子の教育を通じて、息子が社会で役立つようにする役割を担っている、と考察し、これが日本における子育ての特徴であり、結果として、母親と息子の分離が起こらず、個人の確立が遅れている、というのがこの本の主張かと思います。

主張したいことはほぼほぼ理解できるのですが、説明がわかりにくい部分が多々ありましたし、「ホンマかいな?」と思う部分も少なくありませんでした。
あとがきによると、編集者が、著者の文章の手直しにかなり苦労したようです。
自分の受けた印象だと、「考察が客観性に欠ける点、ロジックが不十分な点、前提の説明が不十分な点を、どう手直しするか」が、編集者が苦労したポイントではないかと思います。

言葉遣いは丁寧なのですが、内容が丁寧でないのが、この本の欠点かと。
著者の持ち味を活かし切れておらず、もったいない本ですが、きっと、このレベルまでもってくるのが、編集者の限界なのだろう、とも思っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 図書館で借りた本
感想投稿日 : 2021年4月4日
読了日 : 2021年4月4日
本棚登録日 : 2021年4月4日

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