
2010年上期:第143回芥川賞受賞作品。
言葉遣いや文章に、くすっとするユーモアがあって、とても読みやすい本だと思います。
外国語大学のスピーチ・ゼミを舞台に、コンテストを目指す女子大生達が、噂話で他者を排除するゴタゴタと、その標的になることを怖れ、悩み、自らのアイデンティティに深く入り込んでいく主人公・みか子の物語。
コンテスト課題である、みか子の大好きなアンネ・フランクの手記『ヘト アハテルハイス』の暗唱が、物語の大きなキーワードになっています。アンネのユダヤ人であることに対する苦悩と表明が、そのままみか子の心の動きと重なって…うーん、唸ってしまいます。
物語の緊張感が最高潮に達するコンテストでの暗唱場面。「みか子はこの言葉に出会わなければならなかった。」そして、どの単語よりも丁寧に発音されるべき「アンネ・フランク」という名前。
とても好みの作品です。
- レビュー投稿日
- 2016年12月25日
- 読了日
- 2016年12月24日
- 本棚登録日
- 2016年12月24日
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