議会制民主主義が停止し、「国民クイズ体制」なる政治制度が採用された異形の日本を舞台にした極めて斬新なディストピアSF。
核を保有しかつてのアメリカのような世界の警察官になりあがった日本(ニューヨークの国連ビルは城になり天守閣には鯱が。当然事務総長は日本人)だが、それは国民の過酷な負担によって成り立っていた。例えば、年金は毎月のルーレット下1桁で決定されたりとか。
代わりに用意されたのが毎日開催される「国民クイズ」。超過酷なクイズ大会を勝ち抜けば、どんな願いでもあらゆる法律に優先して国家が叶えてくれるというシステム。「迷子の犬を探して欲しい」から「隣の奥さんを殺したい」、「エッフェル塔を地元に移設したい」といった願いまで。ただし、クイズに負ければ強制労働や財産没収というペナルティが待っている…。
上巻では、この世界観の説明がクイズ大会の進行に合わせて説明され、その影に隠れるように国民クイズ体制転覆の計画が進んでいく。差し挟まれるCMがこの異常な世界観を上手く説明していて楽しい。
上下巻合わせて2時間位の実写映画にしてくれたら尺がちょうどいいと思うのだけどなあ。
「民主主義はもういらない。あなたのための全体主義」!
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2016年1月20日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2015年12月19日
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