愛を知らない

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本棚登録 : 488
レビュー : 50
著者 :
サマーさん  未設定  読み終わった 

初めて読む作家さん。
たまに読む一般の方のブログで紹介されてて、気になったから読んでみた。

主人公は、ピアノが上手な男子高校生。
同じクラスで親戚の橙子が、合唱コンクールのソロに選ばれて、指揮者、男子ソロの4人で練習をしていく。
最初やる気のなかった橙子は、徐々にクラスメイトとも打ち解けていった。
そんなとき、主人公とその仲間は、橙子の出生の秘密を知る。

橙子が、自分が里子であることは知られたくないって言ったことが印象的だった。
同情されたくないからか?と主人公は想像を巡らす。でも、そういうことではないと思う。
読み進めていき、おそらく、橙子自身が、育ての親から橙子の生みの親について悪情報ばかり聞かされおり、自分のアイデンティティや生まれを恥ずかしいもの、人に知られたくないことだと思い込まされていたんだと思う。
橙子が魅力的で、誰かに大切にされるに値する人間であること、誰かを救っていること、ヤマオに説得されたのだろうけど、橙子が肯定的な意見を全て素直に受け入れられたのかどうか…。

育てにくい子は、たしかに存在します。
愛着障害の試し行動というのも、現実にあるのでしょう。
でも、信頼関係を築けなかったこと、子どものせいにしないであげて欲しかった。
最後には、育ての母も、橙子との日々に幸せがあったことに気づけるけど、遅すぎた。
橙子は、きっと、自ら選んだ道とは言え、しばらくの間は「育ててくれた恩を裏切った自分」に苦しみながら生きていくことになる。つらすぎる。
ピアノの冬子先生が「恩にも時効がある」と主人公に言ったけど、大人である冬子先生自身も、そのことに気付けるまでに相当の年月を要したはずだ。

里子里親というか、養子縁組なのではないか?と些末な法律論にひっかかる暇もないほど(読み終えてから違和感に気付いた)この少女の行先が明るいものであるよう願いながら、先へ先へと読み進めました。

レビュー投稿日
2020年9月27日
読了日
2020年9月27日
本棚登録日
2020年8月30日
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