藤沢周平さんの作品を読んだのは、他には用心棒日月抄シリーズを読んだくらいですが、やはり全体的にどことなく寂しさがあるような気がします。
主人公は押し並べて下級藩士で、地味ながら侘しさは感じられない暮らしを営んでいるところに、突如湧いてくる無下な命令といったスタイル。
当然、そういった進みなので、短編の結末も、どこかしらハッピーエンドだけではない話が多いです。
それでも、表題作の「たそがれ清兵衛」などは、この先幸せを掴んでいくんだろうとなと思わせる結びになっていて、思わず顔が綻びます。
それも、派手な幸運ではなく、極々暮らしに寄り添ったような幸運なのが、この作品の持ち味なのでしょう。
表題作だといって、他の短編と比べてページを割いているわけではなく、どちらかというと、あっさりと〆られていて、「あれ?表題作もう終わり?」といった気分にもなりますがw
かといって、他の作品の印象が薄いかといえばそういうものでもなく、短編のタイトルにそれぞれ付けられている渾名によって、その短編の文章から感じる雰囲気まで変わってしまっているような、色んな風景がある作品だと思いました。
読んで、あぁ楽しかった!という作品でもないけれど、とても惹きこまれる短篇集になっています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・時代小説
- 感想投稿日 : 2012年6月20日
- 読了日 : 2012年6月20日
- 本棚登録日 : 2012年6月20日
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