前作から続いていた暗い雰囲気が、今作でも漂っているような、そんな印象があります。街の灯で感じていたような、昭和初期の華族という、なんとはなしに感じていたワクワクした非日常の雰囲気というものが段々影を潜め、華やかで、それでいて密やかでといった雰囲気は、もう感じられなくなっているように思います。
徐々に不穏な気配を帯びていく世情と上流階級と聞けば、何かしら非日常は残っているはずなのですが、そこにはもう「こんな世界に住んでみたい」といった憧れはありません。
なんだか醒めた印象を持ってしまうのは、私の問題か、雰囲気が変わってきたからかわかりませんが、正直に言えば残念な変化でした。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年6月26日
- 読了日 : 2012年6月26日
- 本棚登録日 : 2012年6月26日
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