
「人生は旅だ」とはよく聞くたとえだが、この本はラゴスという一生を旅に費やした男の物語だ。
220ページにも満たない物語だが、娯楽小説にありがちな野暮で無駄な表現の一切を省き、凝縮された男の人生が詰められている。
理知的な男の一人称で進むこの物語は、文章が少し硬く読み進め難いと感じる人もいるかもしれないが、未開拓の架空の星で知識を得て行くラゴスとともに旅を続けると、今暮らすこの社会がどのような過程で出来上がっていったのかが朧げに分かる。
変わった設定のSFでもあり、一生を賭したボーイミーツガールものでもある。ラストの終わり方には胸を締め付けられるだろう。
- レビュー投稿日
- 2013年5月11日
- 読了日
- 2013年5月11日
- 本棚登録日
- 2013年5月11日
『旅のラゴス (新潮文庫)』のレビューへのコメント
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