私の話 (河出文庫)

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本棚登録 : 187
レビュー : 17
著者 :
黄色いひよこさん ぐうぜん   読み終わった 

タクシーの運転手さんの話で、朝の通勤電車で泣きそうになりました。
あたりまえだと思っていた「すこやか」への努力の重み。

わたし、鷺沢萠さんの作品、好きなんです。
好きすぎて、一度に読みたくないって思ってしまうくらいで、
少しずつ読んでいるんです。

これまで、鷺沢さんのことを、すごく繊細ではかなげな人なのかな・・と
病弱で細身な作家さんを勝手にイメージしていたのですが、それってとても一面的でした。

読み進めていくうちに、
鷺沢さんは、その繊細さや鋭さを、自らのイメージの世界で優しく暖めて育てる、
って感じの人じゃなかったんだな、って気付きます。

むしろ、自らのその感触を確かめるように、
本能、本音に身をゆだねて、
全身全霊で現実社会のドアをノックして、
全然知らない世界にひとり乗り込んで、体中生傷だらけになって、
でも自分の欲しかった宝物はしっかり握りしめて帰って来る、みたいな人だったんじゃないかな、って思い始めるんです。
それは最後の酒井順子さんの解説で、すとんと腑に落ちます。

もし、もしですけど、
同じ時代をそばで見れる関係にあったなら、
わたしはきっと鷺沢さんがまぶしくて、残像しかリアルに感じられなかっただろうなと思う。
それほどまでに、あまりに速く、まっすぐ伸びていく彗星のような方だな・・と思いました。
そして、その彗星はどこに向かおうとしていたのだろう、としんみりするのです。

レビュー投稿日
2016年1月16日
読了日
2016年1月16日
本棚登録日
2016年1月16日
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