もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

  • 早川書房 (2017年5月9日発売)
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本棚登録 : 956
感想 : 96

人間はいわゆる「データ」として、三次元の肉体を放棄してもなお、"生きて"いくことはできるんだろうか?老いも病もなく、時間は無限。すくなくとも今の私には、それが幸せな未来だとは思えないけれども・・・そのようなことが可能となった時代の"私"は、まったく違う価値観に基づいてそれの是非を考えるのだろう。
今はまだ想像するしかないその道筋のいくつかを、小説の力で見せてくれるのが『どこかまったく別な場所でトナカイの大群が』や『波』。
不老不死も同じで、数百年も生きると人は何を考えるようになるのか、というテーマはいつだって興味深い。『円弧』は一人に焦点を当て、彼女が不老不死の前と後でどのような人生を送ったかを描いておもしろかった。親子の物語に仕上がっているところがとてもいい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: SF
感想投稿日 : 2020年5月25日
読了日 : 2020年4月30日
本棚登録日 : 2019年11月10日

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