ナショナリズム入門 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2014年5月16日発売)
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本棚登録 : 206
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本書ではナショナリズムをネイションへのこだわりと捉え、ネイションを中心に紐解いていく。特にネイションの形成が人間集団単位の形成と地域単位の形成とふたつに区分し、それぞれのこだわりと、両者のせめぎ合いによる紛争やネイション形成について、さまざまな事例をもって解説する。

ナショナリズムや民主主義は人間集団を動かそうとするアクセル役であり、自由主義は個人の自由を守ろうとするブレーキ役となるという視点は自分にとって新しいものだった。

改めて思うのは、日本人にとってネイションという概念を理解するのは簡単ではない。ネイション=民族=国家=地域という類稀な条件に置かれるからだ。同時に日本ネイションへのこだわりに対する拒否感は、大戦の記憶ゆえなのか、自由主義による抵抗感なのか、まだよく整理ができていない。

淡々と論じる中で最後の一文は大変印象に残る。
「ナショナリズムの流行はネイションの流行であり、それはつまり、世界の分裂です。世界を分裂させていくネイションをまとめ、意味のある世界を新たに作り出していく知恵を出すことが、二一世紀の人類の課題ではないでしょうか。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国際
感想投稿日 : 2016年2月11日
読了日 : 2016年2月11日
本棚登録日 : 2016年2月5日

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