ルポ 大学崩壊 (ちくま新書 1708)

著者 :
  • 筑摩書房 (2023年2月9日発売)
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国立大学法人化から約20年。特に第二次安倍政権以降の10年で、政治と経済界の思惑通りに大学がどのように改革されていったか(壊れていったか)。何が起きているのか。実際に起きたいくつかの象徴的な事例を取り上げながら現在進行形で進む大学崩壊の現場のルポタージュ。
ここで取り上げられている事例や、国立大学法人法等の改正などは大学関係者じゃないと良く分からないし、一般の大学教員などでも良く知らない人も多いと思う。本書では象徴的な事例や法改正、政治の動きが関連して紹介されていて、さらに最後の「おわりに」ではそれらを簡潔にまとめてくれているので、現在までの流れと現状を俯瞰して整理するのに役立つと思われる。
学長による独裁体制、文科省職員の出向と天下り、私物化、ハラスメントの横行、雇用破壊の進行などなどの諸問題は、まさにそれを目指す人びとによって引き起こされていると言っても過言ではないのかもしれない。抵抗しても仕方がないと諦め受け入れる人々と、最初からその状況しか知らないう若手が増加していく現場で何をすべきか。本書のような情報源を手に取って状況を知ることがまずは大事だろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 大学
感想投稿日 : 2023年8月10日
読了日 : 2023年8月10日
本棚登録日 : 2023年8月10日

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