掲示板が物語る、戦前から戦後までの暮らし。
1945年3月10日に起こった、東京の大空襲。こんな絵本がある、と、「読むなら今日だ」と思い図書館で借りました。
見開きで描かれる街の「はらっぱ」には、1934年頃から現代(こちらの初版発行は1997年)までの様子が描かれています。
少しずつ発展し、一夜にして焼き払われ、また少しずつ発展に向かっていく「はらっぱ」。その右下にある掲示板には、何かしらのポスターが貼ってあります。
空き巣に用心するよう呼びかけるものや、お正月についての掲示板が、1939年の頃(中国との戦争が長引いた頃)から「生めよ殖やせよ」というものに変わり、不穏な雰囲気がひっそりと生まれます。
1942年には「欲しがりません 勝つまでは」……1945年には「一億火の玉」……。貧しくも平和な日常が、歪んでいく様子が分かります。
大空襲の悲惨さと、道を踏み外し続ける当時の日本の様子。大空襲の翌日のページには、「これでもまだ、政府や軍は、日本は必ず勝つといいはっていたのです」とい一文が添えられていたのが印象的でした。
定点観測のようで、戦前の「マキ理髪店」が現代では「マキ美容室」 になっていたり。「共同市場」が「スーパー」になっていたり。
子どもたちは年々少なくなっているけれど、また「はらっぱ」が賑やかになるといいなぁ……という希望で締めくくられています。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
絵本
- 感想投稿日 : 2014年3月10日
- 読了日 : 2014年3月10日
- 本棚登録日 : 2014年3月10日
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