はらっぱ 戦争・大空襲・戦後…いま (童心社の絵本)

著者 :
  • 童心社 (1997年2月20日発売)
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感想 : 25
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 掲示板が物語る、戦前から戦後までの暮らし。

 1945年3月10日に起こった、東京の大空襲。こんな絵本がある、と、「読むなら今日だ」と思い図書館で借りました。

 見開きで描かれる街の「はらっぱ」には、1934年頃から現代(こちらの初版発行は1997年)までの様子が描かれています。

 少しずつ発展し、一夜にして焼き払われ、また少しずつ発展に向かっていく「はらっぱ」。その右下にある掲示板には、何かしらのポスターが貼ってあります。

 空き巣に用心するよう呼びかけるものや、お正月についての掲示板が、1939年の頃(中国との戦争が長引いた頃)から「生めよ殖やせよ」というものに変わり、不穏な雰囲気がひっそりと生まれます。

 1942年には「欲しがりません 勝つまでは」……1945年には「一億火の玉」……。貧しくも平和な日常が、歪んでいく様子が分かります。

 大空襲の悲惨さと、道を踏み外し続ける当時の日本の様子。大空襲の翌日のページには、「これでもまだ、政府や軍は、日本は必ず勝つといいはっていたのです」とい一文が添えられていたのが印象的でした。

 定点観測のようで、戦前の「マキ理髪店」が現代では「マキ美容室」 になっていたり。「共同市場」が「スーパー」になっていたり。

 子どもたちは年々少なくなっているけれど、また「はらっぱ」が賑やかになるといいなぁ……という希望で締めくくられています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本
感想投稿日 : 2014年3月10日
読了日 : 2014年3月10日
本棚登録日 : 2014年3月10日

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