脳移植を受けた美人麻薬取締官の神崎アスカと、同じく脳移植者のロシアの殺人鬼ヴォールク。
二人は世界で、ただ二人の脳移植者という事実に、互いに強く相手を意識しあう。
「ヴォールク(狼)」は、幼い頃に森で生き別れに成った妹のワーニャをアスカに置き換え、アスカをロシアへ連れ帰ろうとする。
アスカが古芳という刑事と恋人関係だと知ると、ヴォールクは古芳に憎しみを感じた。
ロシアの諜報機関SVRのソコロフは、ヴォールクとその仲間のミドヴィエーチ(熊)に、チェチェン人に奪われた偽札の回収をするため、日本への派遣を命じた。
ヴォールクはアスカに会いたい為に、その任務を引き受けた。
日本に来たヴォールクはアスカを探し、日本にいるチェチェン人、日本の公安、警察、暴力団を巻き添えにしながら、いとも簡単に殺人を繰り返す。
アスカはアメリカで勤務していた頃に知り合ったCIAのブルックに協力を申し入れた。
CIAはロシアで成功した脳移植のノウハウを手に入れたかった。
脳移植を成功させた、コワルスキー博士は、アスカが極めて順調に回復したのは、「アフター・バーナー」という麻薬をアスカの体の持ち主であるクラインのボスの愛人の「はつみ」が接種していたからだと知った。
「アフター・バーナー」のサンプルと化学構造式はアスカが所属する麻薬取締部が保管していた。
「アフター・バーナー」の化学構造式を手に入れたいソコロフは、ヴォールクとミドヴィエーチにその回収を命じる。
再び、古芳とタッグを組んだアスカが、ヴォールクと対決する。
日本の警察、ロシアのSVR、アメリカのCIAを巻き込んで、アスカはヴォールクに闘いを挑む。
奇想天外な壮大な設定だが、いかにも現実世界で起きても不思議は無いようなシチュエーションの設定などに頷かせられる。
危機的状況の展開に次に何が起きるのか、予測できない状況など、物語の展開は秀逸だ。
一気読み必死の一冊だった。
- 感想投稿日 : 2024年9月14日
- 読了日 : 2024年9月14日
- 本棚登録日 : 2023年3月31日
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