安定の池井戸潤作品です。主人公は元一流銀行の次長として部下に慕われていた恋窪商太郎。しかし、銀行内の不正を暴こうとして、その相手が銀行上層部の重役であり幾重にも張り巡らされていた相手の柵にはめられ銀行を辞めざるを得ず、今は再就職も裏から手を回されまともな希望の職種にも就けず、弱小都市銀行の庶務行員としてしか就職が見つからなかった。その職について逆に人としての幸せとか人生観もまともになったのではないかと本人は思い、今の職を一生懸命こなす毎日を送っている。
その彼の職歴の過去を知るのも都市銀行の中でも本当に数人だけで、そんな中行員の松本という外回りの若手が昔銀行員だったと知る恋窪に仕事の悩みやテクニック的な事を色々と相談してくる。一生懸命な彼を恋窪も悪く思わず色々とアドバイスをしたり協力して行くうちに銀行内や古巣の銀行とも関連したことや恋窪を陥れた上層部の重役たちが絡んだ会社や関連先なども複雑に絡み合って、話は進んでいく。
どちらかというと8話の短編サスペンスがそれぞれ単体でも結末を付けながらすすんで行く構成だが、それぞれが少しずつ絡み合い恋窪を陥れた上層部の悪党たちを最後に追い詰めていくという筋立てであり、銀行の内部の様々な専門的なテクニック的な事も含めて詳しくおもしろく書かれているし、あのテレビ番組と同じようにテンポよく話が進んでいくので読んでいて飽きることがない小説でした。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2018年6月23日
- 読了日 : 2018年6月23日
- 本棚登録日 : 2018年6月23日
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