ひとり暮らし (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2010年1月28日発売)
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本棚登録 : 3253
感想 : 214
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なぜかとても心が安らいだ。
一語一語が私に寄り添ってくれているかのような、とても心地よい時間。

特に「自分と出会う」が好きだ。
「自分のこころはもしかすると他人のこころよりも分かりにくい。」
という言葉を読んで、そうなのかと驚いた。
というより、私は自分のこころも、他人のこころもよく分からない。
でも少しずつ自分のことが見えてきたかなとも思っていたのだけど、この先にはさらなる混沌があるのだろうか。
「ほんとは誰でも自分とつきあうのは大変なんじゃないか。」
という言葉には、嬉しくなった。
私だけじゃないんだ、という情けない喜び。

私にとって身近でないテーマも、すんなり受け止められたように思う(錯覚かもしれないけれど)。
それはきっと、的確なのにやわらかい言葉で綴られているからじゃないだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2012年7月17日
読了日 : 2012年7月17日
本棚登録日 : 2012年7月15日

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コメント 2件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2012/07/18

「私だけじゃないんだ、という情けない喜び」
詩人谷川俊太郎だから、判らない自分を、判らないなりに大事にしよう・・・と言って呉れてるのでしょうね(未読なのに断定しちゃった)。

takanatsuさんのコメント
2012/07/19

「判らない自分を、判らないなりに大事にしよう・・・」
自分のこころが分からないのに生きていることについて、「大胆だ」と書かれていました。
確かにえらく綱渡りな状況だと思った次第です。

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