王国 (その2) (新潮文庫)

  • 新潮社 (2010年2月26日発売)
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感想 : 88
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雫石とおばあちゃん、雫石と楓、雫石と片岡さん、雫石と真一郎くん、その全ての関係が美しくて読んでいて幸せな気持ちになる。
雫石がそれぞれのことを、それぞれに愛しているのが分かる。
一つとして同じ関係も同じ愛情もない。
人との関係って本当に代わりのないものなんだ。
そのことが本当には解ってなかったなと反省。

そして雫石がテレビを見て発見したこと。
「あんなよどみを、あんなくささを飲み込んでもびくともしないなんて、そしてあの人たちが夜に光るコケ類のようにちゃんとそれぞれの美しさを持って生きることを許されているなんて、世界とはなんと包容力があって、すごい浄化作用を持っているのだろう。」
「私はただここで小さく輝いて、消えていくだけ。小さな小さな物語を作って。それでいい。」
この発見に私も許された気がした。
ここで生きていることを。
私のことも飲み込んでいるこの世界に。
そしてその世界で一緒に生きている人(雫石のような)に。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年2月5日
読了日 : 2015年2月5日
本棚登録日 : 2015年2月5日

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