レインコートを着た犬

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本棚登録 : 580
レビュー : 56
著者 :
takanatsuさん 永久保存   読み終わった 

やっぱり好き。大好きです。
『つむじ風食堂の夜』、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』、『つむじ風食堂と僕』を読んでいれば、大好きな月舟町にまた戻ってこれた幸せを噛みしめることが出来ます。
でも、この本が月舟町への初めての旅だったとしたら、それはそれでワクワクドキドキの楽しい旅になったのかもしれない。
私には想像することしか出来ないけれど。

今回の主人公(語り手)は、月舟シネマの番犬ジャンゴ。町の人気者。
そして、もう一人の主人公が月舟シネマの現マスターの直さん。
直さんは映画館の経営が苦しいことに悩んでいます。
直さんだけでなく皆が皆悩みを抱えています。
映画館の経営、古本屋の経営、食堂の経営…etc。
好きなだけではどうしようもない現実社会の厳しさということなのでしょうか。
ジャンゴの目を通して語られる月舟町の人達の想いは辛くもあり、苦くもあり。
それでもなお、やはり甘くもあるのでした。
ジャンゴの優しい眼差しと月舟町の人達の温かい心がふわふわと私を包み込みます。

物語の終わりに直さん達はある答えを見つけます。
その答えはゴールでもなければ華々しいスタートでもなく、それはただのいつもの道の途中のちょっとした段差なのかもしれません。
一度見つけた答えがその先もずっと変わらずに自分を支えてくれるとも限らず、やっぱり違ったと後悔したり、また悩んだりすることもあるかもしれません。
いや、あるのです。
それが生きているってことなのではなかろうかと考える今日この頃です。

直さんのたどり着いた「今」の答えは、私の「今」の答えにはなりません。
それも当たり前過ぎる程に当たり前。
がっかりもしないし、さびしくもないこと。
自分の「好き」を信じていつもの道を勇ましく歩き続けている月舟町の人達のことを考えるだけで、私には勇気が漲ってきます。
私も力強く歩けそうな気がしてきます。
それがこの本を読み終えた「今」の気持ちです。

また月舟町に行きたいな。
また月舟町の人達に会える日を心待ちにしながら、今日もいつもの道を歩き続けましょう。

レビュー投稿日
2015年5月1日
読了日
2015年5月1日
本棚登録日
2015年5月1日
7
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