やがて君になる(4) (電撃コミックスNEXT)

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本棚登録 : 292
レビュー : 20
著者 :
タカツテムさん マンガ   読み終わった 

冒頭で語られる燈子の過去。この何気ない日々の中で唐突に訪れた別れの瞬間から燈子は「姉になる」ことに囚われてしまったのだろうな…

この巻では注目すべき描写が幾つもあるけど、その一つは侑に訪れた明確な変化。これまでも侑の中では「特別」を知りそうになる瞬間が幾度も見られてきたけど、それは燈子によるブレーキで回避されてきた。
けれど、そのブレーキも限界に達したのかこの巻では侑に明確に変化が訪れた事が判る描写が幾つも。だというのにその変化は直接的には描写されない。なんてお洒落な演出だろう

ドーナツ屋での会話シーン。侑に嫌われたくないからと自制を口にする燈子に対して「べつにそんなの」と言いかけたシーン、コマとコマの間に光の演出が入る。
この光は第一巻で侑が少女漫画や恋愛している者達に感じた光と同一の物。それが描かれたということは侑の中で燈子が「特別」な存在になっているということ
だというのに侑から燈子には何も出来ない。侑から好かれることを望まない燈子の意に沿うのであれば、侑は燈子に対して一線を引き続けなければならない。願い事を書くことも言うことも出来ない。
けれど、燈子は侑に対して無邪気な笑みを向け、恋する少女として振る舞うことが出来る。これほどズルいことはない

また、このタイミングで以前の侑を知る菜月との会話が行われ、侑の変化が語られたのは印象的
燈子から見れば侑はいつだって余裕な態度。けれど菜月からすれば今の侑はいっぱいいっぱい。その余裕の無さはきっと喜ばしい変化なのだろうね。
特に電話のシーンからはその変化を感じられる。侑の表情や言葉はいつものように余裕を湛えたものであっても、枕を強く抱きしめ「どうでもよくなんかないよ」と発する。
それはまるで恋する少女のようで、とっくに侑が「特別」を知っていると伝わってくる


こよみによって書き上げられた劇の脚本。それは驚くほどに燈子の内面を表したものだった。また、沙弥香の配役も沙弥香が隠す望みを反映しているのだから恐ろしい
これが単純に恐ろしいと感じる程度で済めばまだ問題にはならなかったのだけど、七海澪を知る市ヶ谷の登場によって現状ですら劇の内容を反映したかのような事態に発展していくのは驚きの展開。
市ヶ谷が教えてくれた七海澪は燈子の全く知らない七海澪であり、燈子の価値観をぶっ壊してしまうもの
燈子が知っていると思っていた澪は特別で完璧な存在。だから燈子は「特別」を目指し続けた。だというのに澪が全く完璧な人間ではないなら、燈子の目指していた物が間違っていたことになる
ここで残酷なのはその不安感を沙弥香にはぶちまけられないこと。沙弥香はあくまで隣に並び立つ相手であり、甘える相手にはなりえない

けど、侑だって燈子の抱える不安全てを許容出来る訳じゃない。侑にとって「特別」な今の燈子を否定する燈子を許せはしない。迷い戸惑い、自分を嫌いだと言う燈子を変えたいと思う。
燈子を変える決意を固めた侑がこれからすることが楽しみで仕方ない

レビュー投稿日
2019年3月11日
読了日
2019年3月10日
本棚登録日
2018年12月31日
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