ランウェイで笑って(9) (講談社コミックス)

3.77
  • (5)
  • (11)
  • (9)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 214
レビュー : 4
著者 :
タカツテムさん マンガ   読み終わった 

少年漫画でありながら、これほどまでに感情の整理が難しくなる巻って早々無い気がする

長く続いた芸華祭本選ファッションショーもこれにて終了。育人や心がこれでもかと暴れまわり実力の程を披露し、審査員達を唸らせたわけだけど、やはり綾野遠が登場すると空気感が変わるね。
この空気感が変わるという点が、漫画媒体でありながら恐ろしい程に読み手に伝わってくる演出が素晴らしすぎる。
ただのブランドロゴ入りTシャツという学生のファッションショーではありえない入り口から始まり、次には綾野遠のテーマ性を判りやすく説明、そこからの数ページに渡る連続見開きで描かれる綾野遠の世界!
台詞のない見開きページなんて他の漫画であればちょちょいと読み飛ばしてしまうのだけど、この連続見開きではページの隅々まで視線をやると同時に何度もページを行ったり来たりしてしまった。それ程までに凄まじい圧があった!観衆のリアクションは最低限に、メインは綾野遠が作る服!と明確に訴えてくる構成は素晴らしい。
あまりに素晴らしいから連続見開きの後に綾野遠への羨望を感じさせる育人の表情が大写しされる流れにも納得してしまう。あまりにも圧倒的に綾野遠が空間を支配していたことが伝わってくる

だからこそ、結果発表にて心がグランプリを受賞する展開に一瞬付いていけなくなる。呆然としてしまう
学園長によってそれらしい理由が会場で説明され、それに納得しかけるが実際はもっとえげつない理由が背景にあったことを知り、再び驚愕してしまう
綾野遠の辞退、そしてセイラの黒い謀略……
デザイナーとして認められたいと頑張っていた心がグランプリを受賞したことは前の巻からの流れを考えればとても喜ばしい筈なのに、ただ嬉しいと思えないだけの背景がそこにある
これ程までにこちらの感情を揺さぶってくる展開があるだろうか?

そして心が栄光を手にする裏で説明される育人の敗北理由。これには悔しいけれど納得してしまった
確かに育人の作る服は素晴らしかったのだけれど、そこにアイディアが有ったのか、デザイン的な新しいファッションが存在していたのかといえばそんな事はない。だから育人が10位にも入れない結果も理解できてしまう
以前言及された「育人に―そこまで才能はない」という台詞の意味が痛いほどに伝わってくる

初めて圧倒的な敗北を知った育人。その裏でモデルの道を掴んだ千雪。直後、二人が会場で遭遇し始まった展開がまさかの……
こちらはあまりにもあまりなファッションショーの結果に感情がぐちゃぐちゃになっているというのに、このタイミングで将棋漫画が始まるってどういうことだ(笑)
「盤上で笑って」というサブタイトルに始まり、「ヒカルの碁」パロディみたいな学園長、「飛車角で旅をする」などというセルフパロディ。これらの無茶苦茶な展開をどういう感情で読めというの!?
良くも悪くも力が抜けて、次の展開に目を向けることが出来たよ……

そして始まるのはそれぞれの転進。心はパリ留学、千雪は雑誌の専属モデル、対して育人は……
”Aphro I dite”にインターンとして入った育人。そこでは殆どの学生が単純労働として使い潰される中、どうして育人だけは社員として採用されるに至ったのだろう…?
ていうか学生時代がいつの間にか終わってしまったな

レビュー投稿日
2019年3月20日
読了日
2019年3月19日
本棚登録日
2019年2月18日
0
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『ランウェイで笑って(9) (講談社コミッ...』のレビューをもっとみる

『ランウェイで笑って(9) (講談社コミックス)』のレビューへのコメント

まだコメントはありません。

コメントをする場合は、ログインしてください。

『ランウェイで笑って(9) (講談社コミックス)』にタカツテムさんがつけたタグ

ツイートする