
「小説すばる 2009.4」
やはり同年代の作家さんだけあって、共感するフレーズがあちらこちらに鏤められている作品であった。
彼女の作品は、平凡な日常にある種のスパイスを与えてくれる。
それはストーリーの中でもあり、私自身の生活の中でもある。
【付箋メモ】
生きるのが面倒なのは、不幸だからではなく、生半可な幸せと堪えられそうな不幸が交互に訪れるからではないだろうか。(p36)
世間の規範から外れた幸せが欲しい。
ひとりだけで、こっそり笑うような。(p38)
誤解が起きたら、言いわけはしないことだ。面倒だからだ。人の噂話はしない。自分の噂は放っとく。否定するのもばかばかしいことだ。
なんでもかんでも得するように努力することが人生の近道ということはない。得するように考えることは、神経を擦り減らすことになる。(p46)
二人で黙るのは楽しい。喋ると「伝え合う」ような気分になってしまうけれど、黙ると「共有」のような気持ちになる。(p68)
痛みというものは消えることがないが、薄らぐという性質を持っている。(p69)
先に続く仕事や、実りのある恋だけが、人間を成熟に向かわせるものではない。ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。(p69)
- レビュー投稿日
- 2013年6月3日
- 読了日
- 2013年5月31日
- 本棚登録日
- 2013年6月3日
『ここに消えない会話がある』のレビューへのコメント
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