黄昏ゆく街で (角川文庫)

著者 :
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本棚登録 : 45
感想 : 5
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尾崎豊が小説を書いていたことは、カドカワ時代に小説家としての彼をプロデュースしていた見城徹の「編集者という病」を読んで初めて知りました。そんなある日、図書館で本を借りる列に並んでいたときに、ふと横の書棚に目をやると尾崎豊の「黄昏ゆく街で」がひっそりと置かれていました。こんな出会いもあるんだなぁ。

もとは「月刊カドカワ」の1990年4月号~1991年6月号に掲載されていた連載小説。尾崎自身を彷彿とさせる主人公が不思議な縁で出会った女性に恋していくプロセスと心情が独特のボキャブラリーで細やかに綴られています。読み進めていくと、頭のなかで「街の風景」にはじまり、「OH MY LITTLE GIRL」、「I LOVE YOU」、「Forget-me-not(忘れな草)」、そして「黄昏ゆく街で」といった名曲が自然と流れ出して止まりません。

それが突然、最後の10ページくらいから一気に壊れ始めて…。これ以上、どう展開していく余地があるのだろうか、というところで連載は中断、未完のままこの小説は幕を閉じます。彼の死の一年ほど前のこと。今までは彼の音楽しか聴いたことがありませんでしたが、この小説はまた彼の音楽の世界観が違ったかたちでそのまま感じられる、繊細で不器用でまっすぐな優しさと恋愛の苦悩が伝わってくる名作です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年1月15日
読了日 : 2011年1月15日
本棚登録日 : 2011年1月15日

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