下山事件(シモヤマ・ケース) (新潮文庫)

3.34
  • (16)
  • (22)
  • (74)
  • (8)
  • (2)
本棚登録 : 371
レビュー : 47
著者 :
takemogさん  未設定  読み終わった 

古本で購入。
ノンフィクションが読みたかったので。

昭和24年(1949)7月6日、常磐線五反野ガード下で初代国鉄総裁下山定則が轢死体で発見された下山事件。
この戦後最大のミステリーとも言える事件について読むのは、松本清張『日本の黒い霧』を読んで以来2度目。
かつて大学に向かう常磐線の中、しかもちょうど轢断現場の辺りで下山事件のくだりを読んでいた、というしょうもない理由で興味を持ち続けていた。

本書の話は、祖父が下山事件実行犯かもしれないという男(作中では『彼』)に、著者の森が出会うところから始まります。

ただまぁ、結論から言えばガッカリ本ですよコレは。

まず内容自体が他人の著書や報告書のコピペのよう。
森による新見地ってのはあまりない。取材で得られた新たな材料の組み立てを試みていないところに不満が残る。

それから、取材を進める中で森が周囲とゴタゴタを起こして、一々その経過なり状況なりが描写されるのが不快。
何がしたい作品なのかいまいちよくわからなくなってる気がするんだな。

これは僕の求める「ノンフィクション」でも「ルポルタージュ」でもなかった。
もっと骨太の本だと思ったんだけど。

読んでいて森の迷走ぶりばかりが目に付く。
何より
「要するに事実を暴くことは、僕にとっての最終的な目的ではない。知った事実を素材にして、そこから何を自分が感知するのかが重要なのだ」
というスタンスが僕に合わなかった。

つまり森は、いわゆる「アーティスト」なんだと思う。
この人はジャーナリストではない。
雑誌連載の文章の一人称を「僕」にすることに拘るところからも、それはわかる。
事件に対して主観で臨んでるわけだ。
そのフィルターはノンフィクションには要らんよ。

「文庫版のための付記」にもあったしネットで少し調べたりもしたが、森は重大な過ちを犯している。
証言の捏造だ。
この付記でいろいろ書いているが、正直言い訳にすらなってない。
「読者に謝罪しなければならなかったがその機会がなかった」
と言うけど、ホームページ持ってんだよね。
全体に自己正当化、自分は被害者であり加害者でもある的な逃げのにおいがする。

下山事件に興味がある人は、松本清張『日本の黒い霧』か、矢田喜美雄『謀殺 下山事件』(僕も未読だけど)を読むのがいいのかも知れない。

レビュー投稿日
2013年7月22日
読了日
2013年7月22日
本棚登録日
2013年7月22日
1
ツイートする
このエントリーをはてなブックマークに追加

『下山事件(シモヤマ・ケース) (新潮文庫...』のレビューをもっとみる

いいね!してくれた人

ツイートする