坂田昌一 原子力をめぐる科学者の社会的責任

著者 :
制作 : 樫本喜一 
  • 岩波書店 (2011年10月22日発売)
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本書は1950年代、60年代に書かれたもの、話されたものからできている。それを今ふたたび刊行することになったのは、もちろん3.11以降の原発問題について考えるヒントが多く含まれているからだろう。50年代には、唯一の被爆国である日本ですら、原子力が夢のエネルギーとしてもてはやされたようだ。坂田先生の記述にもいくらかそういうものが残っている。が、おそらく水爆実験などの影響と思われるが、安易に原子力の研究を進めるべきではないという考え方が強くなってくる。原子力平和利用の三原則(公開・民主・自主)というのが大前提で研究・開発を進めなければならない。それがどうしたことだろう。今回の福島原発での事故により、50年以上前から訴えられていたことが、全くと言っていいほど効力を発揮していなかったということが露呈してしまった。本書を通して坂田先生も参加していたパグウォッシュ会議や日本学術会議での、湯川・朝永・武谷をはじめとする当時の科学者たちの強い思いが垣間見える。ラッセル・アインシュタイン宣言「Remember your humanity and forget the rest.」この言葉はとうとう本書には登場しなかった。30年ほど前に読んだ朝永先生の本で覚えていた。学生寮の壁にも落書きをした。廃寮前に訪れた部屋に、その跡を見つけ出すことはできなかったのだけれど。図書館に購入していただきました。たくさんの人に読んでほしいです。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 科学技術
感想投稿日 : 2014年10月29日
本棚登録日 : 2014年10月29日

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