広島平和記念資料館は問いかける (岩波新書 新赤版 1861)

著者 :
  • 岩波書店 (2020年12月21日発売)
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感想 : 15

40年前、中3の修学旅行で訪れた。何の印象も残っていない。6年前、家族旅行で訪れた。強烈な印象が残っている。世界中の人々に見てほしいと思った。14歳と50歳の違いだろうか。展示物そのものの違いもあるのではないだろうか。本書を読んでそう思った。これだけの紆余曲折があって今の展示となった。戦争そして原爆の悲惨さを伝えるのが役割である。しかし、思い出したくない人もいる。気分が悪くなる人もいる。人々のいろいろな思いが交錯する中、いまの形ができあがってきた。今後、記憶を留める人がいなくなる。そんな中でどう語り継いでいくのか。忘れてはいけない過去をどう残していくのか。本書のどこかでも似たようなことが書かれていたと思うが、人は二度死ぬ。一度目は文字通り肉体の死。二度目はその人を記憶している人々がすべていなくなったとき。私の両親は2年前に続けて亡くなった。子ども2人、孫5人が生きている間は、記憶の片隅のどこかで生き続けることだろう。ひ孫3人の顔を見て死んだが、この3人には曾祖父母のことは記憶されていないだろう。とすると、二度目の死はあと7,80年後ということか。世界にも負の遺産を展示する資料館は多いようだ。広島のこの資料館がそれらの中心的な存在であり続けること、そして世界から人々が訪れ、核兵器が根絶される世界がやってくることを願う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 科学技術
感想投稿日 : 2021年3月4日
読了日 : 2021年5月27日
本棚登録日 : 2021年2月21日

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