進化とはなんだろうか (岩波ジュニア新書 323)

  • 岩波書店 (1999年6月21日発売)
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感想 : 26

著者の本はどれをとってもおもしろい。すでに知っている話題も多いのだけれど、読むたびに新しいトピックに出合うことができる。アフリカはタンガニーカ湖に住む魚。相手の右側のウロコばかりを食べるために口が左に曲がった魚と、逆に左側ばかり食べるために口が右に曲がった魚がいるらしい。なんとも不思議な話だ。ちょっと数学的になるが、タカ-ハトゲームの話も、がんばって計算についていくとおもしろい。ブルジョアが出てくると、数値の意味を確認するのに少し時間がかかったけれど。それから性淘汰の話はどれをとってもおもしろい。ヒト以外の有性生殖をする動物ではオスがメスを獲得するために戦ったり、目立つ羽を付けたり、きれいな声で鳴いたりするのだとばかり思っていたが、逆のパターンもあるらしい。タマシギという鳥では、オスが卵を温めるため、メスの方が自由になる時間が長くなる。それで、メス同士がオスを奪い合うのだそうだ。それに伴って、メスの方がからだは大きく羽もきれいになっている。アブラムシなどは未受精のまま卵がふ化する。だから基本的にオスはいらない。なぜオスとメスができてきたのか。それは遺伝子を組み替えておくことで環境の変化に適応できるようにするため、そんなふうに説明されることが多い。けれど、実際のところは誰にも分からない。生物というのは本当におもしろい。まだまだ知られていないことがいっぱいある。興味はつきない。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 長谷川眞理子
感想投稿日 : 2014年12月14日
本棚登録日 : 2014年12月14日

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