悩みのコントロール術 (岩波アクティブ新書 52)

著者 :
  • 岩波書店 (2002年12月5日発売)
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感想 : 8

他人が悩んでいるとすぐ原因を追究したがる人がいる。「どうして?それは、なぜ?」原因を究明して、それを解消すれば、悩みは消えると思っている。そういう人は「こうすれば、ああなる」、原因と結果が1対1に対応していると考えている。人の悩みというのはそう簡単なものではない。きっかけになることは確かに何かあったのかも知れない。でも、それ以上に、いろいろなことがからみ合って悩みが生まれる。いじめにしても何が原因で始まるかは分からない。不登校も引きこもりも、いろいろなことがからんで、自分ではどうしようもなく身動きができなくなっている。カウンセラーはひたすら悩みを聞いてうなずくだけ。自殺などの緊急性があるものを除くと、悩みを解消する術を提示するわけではない。どちらかというと、悩みを深めるのを手助けする。人は悩むことで成長する。悩むことで自分を見つめ直すことができる。自分を深く知ることで、悩みが少しは軽減される。ピンチをチャンスとかえられるかどうか、それはその人がいかに深く考えるかによるのだろう。私自身、仕事柄、しょっちゅう人の相談にのっているように思う。卒業生の保護者が来られることも多い。頼りにしてもらえるとうれしいものだ。私はたいがいじっと聞いているだけだ。だいたいが話し好きなのだけど、これでなるべく話すのをおさえている方だ。話してくれない生徒に対しては、ついついこちらのことばが多くなりすぎて、いつも反省している。保護者で相談に来られる場合は、たいがいよくしゃべるお母さんが多い。そしてひとしきりしゃべって、話を聞いてもらったことで、すっと肩の荷が下りた気分で帰られることが多い。ときには、「あなたが変わらないと、子どもは変わりませんよ」と言いたくなることもある。でも、ぐっとこらえる。親は親なりに悩んでいる。それを少しでもほぐしてあげられればと思う。自分自身の子育てについては1回きりのもので、他人にえらそうに言えるものでもない。それでもこの10数年、たくさんのケースに出会ってきた。それらと照らし合わせて少しでもアドバイスできればと思っている。ピンチをチャンスにかえる手助けができればうれしい。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 心理学・精神医学
感想投稿日 : 2015年8月31日
本棚登録日 : 2015年8月31日

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